イラストや文字にアニメーションが施されたCMを、1度は目にしたことがあると思います。CMで使われるようなただ文字を入れるだけでなく、エフェクトをプラスすることで、作品をより効果的なものにレベルアップさせるためのソフトが「After Effects」です。
今回はそんなAfterEffectsでできることや料金、同じAdobe製品のPremiere proとの違いについてご紹介します!
After Effectsとは
After EffectsはAdobeが販売している、映像のデジタル合成やモーショングラフィックス、タイトル制作などの映像加工に特化したソフトウェアです。AEやアフターと略されて呼ばれることもあります。映画やテレビ番組の映像加工、CM制作、ゲーム、アニメ、Webなどのコンテンツ制作に幅広く利用されています。ただ文字を入れるだけでなく、エフェクトをプラスすることで、効果的な画像を作成することができ、ゲーム業界では主にエフェクト制作に使用されます。
基本は2Dの映像加工ソフトですが、3Dの作業空間もあるため、2Dの映像だけでなく3Dのモデリングデータや、カメラ、ライトもその空間内に配置ができます。
After Effectsは色々なことができますが、操作が複雑で、エフェクト数も多いため、習得難易度はやや高めです。
After Effectsでできること
After Effectsは、一つの素材にレイヤーを重ねるなどして特殊効果をかけることを得意としています。つまり動画などの要所要所で効果的に使われる「素材作り」が得意なのです。それでは、After Effectsの特徴的な機能を3つご紹介します!
①エフェクト制作・映像加工
After Effectsは素材作りが得意と言いましたが、特にエフェクト制作を得意としています。爆発や炎、光といったエフェクトの制作から、映像への合成までAfter Effectsで完結できます。
何も無いところから爆発を起こすことも可能で、エフェクトの種類も豊富にあるため、デザイナーのイメージ通りの表現が可能です。
また、映像の色調補正といった機能も備わっており、後から動画のイメージを変えたい場合にも重宝します。
②ビジュアルエフェクト(VFX)
ビジュアルエフェクトは視覚効果という意味で、「現実に対して加工を施した映像」のことを指します。
一方、よくビジュアルエフェクトと混同されがちなCGは「コンピューター上で作られた映像」のことを指しており、加工する対象によって区別されています。
ビジュアルエフェクトの例として、映画『スパイダーマン』をイメージすると分かりやすいかと思います。例えば、スパイダーマンが街の中を飛び回ったりする場面で、現実の街の風景に、スパイダーマンが糸を使って空中を移動するシーンが合成されています。他には、ワイヤーアクションを行った際に流れる映像は現実の人間が動いているものですが、そこからワイヤーだけを消す加工をするのもビジュアルエフェクトです。
③モーショングラフィックス
モーショングラフィックスは文字やイラストなどに動きや音をプラスする映像表現です。
モーショングラフィックスを用いることで、例えば静止画の資料をただ見せるよりも、視覚的に情報を得られるため、内容を正確に伝えることができたり、テンポよく伝えることが可能になります。これはさまざまな企業の広告(CM)などでも多く使用されています。
④3Dトラッキング
3Dトラッキングとは、任意のポイントを配置することでカメラの動きを3D化させることです。これによって動画内のテキストを3D化することが可能です。
例えば、バレーボールの試合でセッターがトスを上げアタッカーがスパイクを決めるという一連の流れがあったとき、解説でボールが相手から撃ち込まれてスパイクが決まるまでの軌道が立体的な線で表示されることがあると思います。この立体的な線は実際の映像からボールの軌道や速度、角度などのデータを算出・解析しCGデータとして合成しています。
ここまで読んで「こんな難しそうなことできるわけない…。」と思った方も安心してください!After Effectsには無料のプラグイン(拡張機能)もたくさんあるのでそれらやテンプレートを使用すれば、初心者でも簡単に映像加工が楽しめます!
After Effectsのメリット
①プロレベルの映像加工が可能
After Effectsを使用するメリットの1つ目が、プロレベルの映像加工が可能なことです。
VFXやモーショングラフィックスなど、映像加工で必要になる機能がすべてそろっているため、ツールの使用に慣れてくれば高品質な映像作品を作れるでしょう。
また、詳しくは後述しますが、プロの現場でも使用されているツールにもかかわらず、比較的安価に利用できる点もメリットです。
例えば、ゲーム業界のエフェクト制作で使用される「BISHAMON」はサブスクリプション契約の場合、月額13,200円(税込)で、After Effectsに比べて1万円ほど高くなります。
▼BISHAMONについてはこちらの記事で詳しく解説しています!
②無料素材が豊富
2つ目が、無料素材が豊富にあるということです。
無料素材がたくさんあるため、After Effectsを使い始めて間もない方でもエフェクト制作などが行いやすい環境であるといえます。
また、サードパーティー製のプラグインも豊富にあるため、ツールの使用に慣れてきたらぜひさまざまなプラグインを試してみてください。
After Effectsのデメリット
①長編の映像制作に向いていない
冒頭でも記載した通り、After Effectsは「素材作り」が得意なソフトであるため、複数のシーンをつなぎ合わせて作る映像には向いていません。
例えば映画やYouTube動画などが当てはまります。また、音声系のエフェクトもあまり多くないため、「ノイズを消したい」など音声系エフェクトを使用したい場合や、複数の動画を切り貼りして1つの動画を作る作業は、同じAdobeの「Adobe Premiere pro」がおすすめです。
②習得が難しい
プロも使用するほど多機能でできることも多い分操作も複雑になり、ツールを使いこなすには時間がかかります。
しかし、公式のチュートリアルはもちろん、書籍やYouTubeでの解説動画など学ぶための教材は多くあるため、独学での学習も可能です。
短期間かつハイレベルに習得したいという方は、スクールやオンライン講座での受講も良いでしょう。
「Premiere pro」との違い
映像制作ソフトは無数にありますが、よくAfter Effectsと比べられるソフトに「Adobe Premiere pro(以下:Premiere pro)」というものがあります。
Premiere proは複数シーンをつなぎ合わせて作る映像を得意としています。
時系列に沿って作業を進めていくため、断片的に何か加工を施すことには向いていませんが、長時間映像などに適しており、映画『シン・エヴァンゲリオン劇場版』では編集にPremiere proが使用されています。
After EffectsとPremiere proの得意、不得意とあわせて簡単にまとめると、このようになります!
内容 | After Effects | Premiere pro |
素材作り | ◎ | △ |
動画編集 | △ | ◎ |
ビジュアルエフェクト | ◎ | △ |
1つの素材に特殊効果をつける | ◎ | ○ |
複数のシーンをつなぎ合わせる | △ | ◎ |
つまり、アニメーションや映像に用いるエフェクト制作やVFX制作を行いたい方は「After Effects」、複数の素材を用いた長時間の映像制作や音声エフェクトを使用したい方は、「Premiere pro」を使用すると良いでしょう。
After Effectsの料金
Adobe製品は現在のところすべて月額制となっており、After Effectsは月額3,280円(税込)となっています。学生であれば月額2,180円(税込)で利用できます。(※2024年11月1日時点)
また、Adobeでは7日間の無料トライアルがあるので、お試しで使用してみて自分に合わない場合、期間内に解約すればそのままお金はかかりません。
また、After Effectsの他にPremiere proやPhotoshop、Illustratorなど複数のAdobe製品を使いたい場合は月額7,780円(税込)のコンプリートプランというものもあるので、3つ以上使用したい場合はこちらのほうがお得に利用できます!
詳しくは公式ホームページをご覧ください。
After Effectsを使用する職種
After Effectsは、デザイナーやアニメーター、コンポジッターが使用するツールです。
特にデザイナーは2D・3Dデザイナーどちらでも使用され、企業によってはエフェクト制作専任の「エフェクトデザイナー(エフェクター)」という職種もあります。
また、将来的にプロの映像クリエイターになりたい、映画やCMを作れるようになりたい場合はAfter Effectsを扱えるとよいでしょう。PremiereとAfter Effectsの両方を使えるクリエイターはまだそこまで多くないので、より活躍の幅が広がるかもしれません!
▼ゲーム業界の映像クリエイターについてはこちらの記事で詳しく解説しています!
将来性
映画やアニメなどで3Dを使用した撮影が当たり前になってきており、オリジナリティや独創性あふれる素材を作れるスキルは、今後ますます需要が増えると考えられます。
After Effectsを使えば自身のアイデアを思う存分発揮できるので、クリエイティブなことが好きな方は持っておいて損はしないスキルだと思います!
まとめ
本記事ではAfter Effectsとはどんなソフトなのか、できることや苦手なことについてご紹介しました。
モーショングラフィックスや3Dトラッキングと聞くと、とても難しそうに思えますが、ある程度操作に慣れることができたら、自分の思い描いたものをそのまま直感的に創造できる素晴らしいツールです。
CGのように0から1を生み出すわけではありませんが、現実という1を10にも100にも1000にも膨らますことが可能です。そんなAfter Effectsを使って自分のなかのアイデアをどんどん素敵な作品にして残してみてはいかがでしょうか!
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