「シミュレーションゲーム(SLG)とは?」と聞かれたら、あなたはどのように説明するでしょうか?
「○○シミュレーション」という分類の作品は数多ありますが、あらためて「シミュレーションゲームとは?」と言われると、かえって説明しづらさを感じたりはしないでしょうか。
本記事ではシミュレーションゲームという大変幅広いジャンルについて、主なサブジャンルや代表的な作品を、歴史をたどりながら紹介していきます。
シミュレーションゲームとは?
シミュレーションゲーム(Simulation Game)とは、現実世界の仕組みや現象を仮想空間で再現し、プレイヤーがその中で「体験」することを目的としたゲームジャンルです。
一般的なアクションゲームやRPGでは「物語」や「操作」がゲーム体験の中心になりますが、シミュレーションゲームの主役は「システム」です。
勝敗やゴールよりも、プレイヤーの行動によって起こる変化や途中経過を観察し、与えられた条件の中で試行錯誤を重ねる過程そのものを楽しみます。
多彩なサブジャンルや派生ジャンル
現実世界の疑似体験から創造的な世界づくりまで、シミュレーションゲームには、実に多彩なサブジャンルや派生ジャンルがあり、プレイヤーの「考える力」や「創造する楽しさ」を同時に刺激します。
ここでは代表的な区分を整理しつつ、その特徴と代表作を見ていきましょう。
経営・運営シミュレーションゲーム
都市や会社をマネジメントして発展させていくジャンルで、資金や資源の管理を通して、成長のバランスを考える面白さがあります。代表的な作品は『シムシティ(SimCity)』『A列車で行こう』『Cities: Skylines』などで、いずれも長期間にわたって支持されています。
近年は基本無料でプレイできるモバイルアプリタイトルも増え、カジュアルに街づくりや経営を楽しめるようになっています。
育成シミュレーションゲーム
キャラクターや生き物などと長期的にかかわり育てるゲームで、プレイヤーの愛着が深まりやすいジャンルです。『たまごっち』『プリンセスメーカー』『パワフルプロ野球(パワプロ)』『ウマ娘プリティーダービー』などが有名です。
なお、コミュニケーションに重きを置いたバーチャルペットゲームも、育成シミュレーションの一種になります。
▼「バーチャルペットゲーム」についてはこちらの記事でも詳しく解説しております!
戦略シミュレーションゲーム(ストラテジーゲーム)
戦術・国家運営などを扱う、戦略的思考を求められるジャンルで、ターン制(TBS)とリアルタイム制(RTS)に大別できます。
自分の頭脳と戦略によって世界を思い通りに動かす達成感が魅力で、『信長の野望』『三國志』『Civilization(シヴィライゼーション)』などが代表的な例です。
なお、『ファイアーエムブレム』のようにユニットのキャラクター性や物語性を強調した戦略SLGは、シミュレーションRPG(SRPG)というジャンルを形成しています。
シミュレーションRPG
戦略シミュレーションゲームの戦略的な戦闘要素と、JRPG(ロールプレイングゲーム)の物語性やキャラクター育成の要素が融合したジャンルです。
英語圏ではTactical role-playing game(タクティカルロールプレイングゲーム)やStrategy role-playing game(ストラテジーロールプレイングゲーム)と呼ばれます。
キャラクターたちと共に成長し物語を紡ぐ没入感と、戦略を練って勝利する達成感を同時に味わえるのが魅力です。
上述の『ファイアーエムブレム』シリーズや『スーパーロボット大戦』シリーズなどが有名です。
近年ではスマートフォンで楽しめる作品もあり、『ファイナルファンタジー ブレイブエクスヴィアス 幻影戦争(FFBE 幻影戦争)』などが人気です。
恋愛シミュレーションゲーム
登場キャラクターとの交流を中心に展開するジャンルです。
感情や選択が物語を左右し、心理的な関係構築を楽しむ点が特徴で、『ときめきメモリアル』『アマガミ』『ラブプラス』などが有名です。
のちに、恋愛シミュレーションゲームのパラメータ管理による攻略や分岐の要素を弱め、選択肢によるシナリオ分岐を用いてより深く物語を楽しむスタイルの恋愛アドベンチャーゲームが発展しました。
ライフシミュレーションゲーム
日常生活や、人生そのものをゲームとして体験するジャンルです。
『牧場物語』や『ザ・シムズ(The Sims)』などがその代表格です。
仕事や人間関係、家づくりなど、現実に近い生活を自由に楽しむことができます。
現実では経験しにくいような特別なイベントや理想の人生も体験できるのが魅力です。
フライト/ドライブシミュレーションゲーム
様々な乗り物の操作体験をリアルに再現したジャンルで、『Microsoft Flight Simulator』『電車でGO!』『グランツーリスモ』などが有名です。
現実に近い挙動や操作感が魅力で、近年は技術の発展に伴い、より一層リアリティあふれる体験が可能になってきています。ステアリングコントローラーやペダル、レーシングコックピット、VRヘッドセットなどの周辺機器を追加することで、より一層没入感の高いプレイを楽しめます。
サンドボックス・箱庭ゲーム
明確なゴールを持たず、自分だけの世界を自由に作り変えて楽しむゲームジャンルです。
『どうぶつの森』『Stardew Valley(スターデューバレー)』『Minecraft(マインクラフト)』などが代表的な例で、「自由度の高さ」そのものがゲーム性になっています。
近年はオンラインやマルチプレイの普及により、「自分の箱庭を友人と共有する」といった遊び方も定着しています。
▼「箱庭ゲーム」についてはこちらの記事でも詳しく解説しております!
こうして見てみるとシミュレーションゲームは、現実をどう切り取り、なにをどこまでコントロールできるか?という発想の違いによって枝分かれしてきたことがわかります。
次は、このジャンルがどのように誕生し、発展してきたのかをたどってみましょう。
シミュレーションゲームの歴史
シミュレーションゲームのはじまりは、1960年代の軍事演習やウォーゲームにまでさかのぼります。
当初は紙とコマを使ったアナログ形式でしたが、「現実を再現する」という思想はそのままに、やがてコンピュータの中で発展していきました。
1980年代:ジャンルの確立
初期のPCゲーム時代に『川中島の合戦』が登場し、日本独自の歴史SLG文化が芽生えました。その後、『信長の野望』『三國志』シリーズがヒットし、戦略型SLGというジャンルを確立します。
一方、海外では『SimCity』が都市運営の面白さを提示して大いに好評となり、「経営・発展型」シミュレーションの原型となりました。
都市運営型のゲームは、のちに「シムシティライクゲーム」というサブジャンルとして定着していきます。
▼「シムシティライクゲーム」についてはこちらの記事でも詳しく解説しております!
1990年代:家庭用ゲーム機への広がり
『大戦略』や『ファミコンウォーズ』など、家庭用ゲーム機向けの戦略シミュレーションが人気を博しました。
同時期に『プリンセスメーカー』『ダービースタリオン』などの育成シミュレーションや、『電車でGO!』などのドライブシミュレーションも登場しました。
さらに、恋愛をテーマにした『ときめきメモリアル』など、より身近な題材も扱われ始め、シミュレーションゲームの題材は多様化していきます。
2000年代:リアルタイムとオンライン化
2000年代以降、シミュレーションゲームは、PC・家庭用・モバイルなど、各プラットフォームにおいてそれぞれに進化していきました。
また、3D技術とネットワークの発展によって、リアルタイム性の高い作品が登場します。
ライフシミュレーションでは『The Sims』が世界的にヒットし、現実の生活や家づくりを自由に楽しめる作品として定着しました。
2000年代中盤以降になるとオンライン要素が拡大し、『三國志 Online』『ファンタシースターオンライン』など、他プレイヤーとの協力や競争を楽しめるタイトルが登場しました。
一方で、『信長の野望』『三國志』『Civilization』などの戦略・歴史系タイトルも、自由度とリプレイ性の高さから根強い人気を保ち続けています。
さらに、牧場や動物、キャラクターの育成をテーマにした『ダービースタリオン』『Farming Simulator』などが、「成長と癒し」の魅力で幅広い層に支持されています。
近年~現在:AI活用と自由度の拡大
近年のシミュレーションゲームは、AIの進化によって驚くほど表情を変え、プレイヤーの自由度はますます拡大しています。
NPCがプレイヤーの選択を学習して反応を変え、会話や都市の情勢がリアルタイムで変化する、あるいは、物語や環境がリアルタイムに生成されるといった体験が、いまや現実のものとなっています。
一方で、オープンワールドやクラフト要素の発展により、「何をするか」を決めるのはプレイヤー自身になりました。
さらに、AIによる難易度やバランスの調整によって、プレイヤー一人ひとりに合ったプレイ体験を提供するという試みも広がっています。
AIが織りなす自律的な世界と、プレイヤーが描く自由な物語との融合によって、現代のシミュレーションゲームはなおも進化し続けています。
シミュレーションゲームに仕事としてかかわるには?
ここまで見てきたように、シミュレーションゲームというジャンルはたいへん幅広く、サブジャンルやタイトルによってゲーム性はさまざまで、一口に語ることは困難です。
しかしながら、ルールや条件を設計してプレイヤーに特定の環境や現象を「体験させる」という点は共通していますので、その点をふまえてご紹介していきます。
ゲームプランナー
ゲーム全体の構想を練り、システムやルールを設計します。
シミュレーションゲームでは特に「どの要素を再現し、どこを簡略化するか」というバランス感覚が重要です。「どうすれば面白くなるか」を考えながら、現実の仕組みを「遊び」に変換できる発想力が求められます。
▼ゲームプランナーについてはこちらで詳しく紹介しています!

2D/3Dデザイナー
MAP・キャラクター・UIなど、さまざまなビジュアル制作を担当します。
シミュレーションゲームのデザイナーには、プレイヤーが複雑な情報を直感的に理解できるような、視覚的な整理と演出センスが欠かせません。
また、作品ごとの世界観づくりや、リアリティの演出も重要な要素です。
このジャンルでデザイナーをめざすなら、2Dや3Dのデザインスキルに加えて、色彩感覚や動きの表現、世界観全体の統一感を意識する力も身につけておきましょう。
▼2D/3Dデザイナーのお仕事についてはこちらで詳しく紹介しています!

プログラマー
ゲームに必要なあらゆる動きを実現するためのシステムを構築するポジションです。
システムの挙動やマップ生成、AIによる行動パターン、インタフェースの反応など、多岐にわたる要素を制御します。
柔軟な設計が求められるため、技術力だけでなく、他職種との連携をスムーズに行うコミュニケーション力も欠かせません。
▼ゲームプログラマーのお仕事についてはこちらで詳しく紹介しています!

制作ツール
どうしても制御すべき要素が多くなるシミュレーションゲームの制作は、ゲームジャンルの中でも開発難易度が高めです。
用途やスキルに応じて、最初は「GDevelop」や「Construct 3」で小さなプロトタイプを作ってみるのがオススメです。
初心者向け制作ツール
GDevelop
完全無料&オープンソースのゲームエンジンで、2Dにも3Dにも対応しており、ノーコードでゲームを開発できます。
ビジュアルプログラミングを採用していることや、ガイド付きレッスンや豊富なサンプルがあるため学習ハードルが非常に低く、これからゲーム制作を始めたい方にもおすすめです。
Construct3
ブラウザ上で動作するノーコード対応の2Dゲーム開発ツールです。ビジュアルプログラミングによるドラッグ&ドロップ操作で、初心者でも直感的にゲームの基礎を形にできます。
豊富なテンプレートやサンプルが用意されており、無料プランもあるため、まずは気軽に試してみたい人にぴったりのツールです。
中・上級者向けツール
Unity
Unityは、幅広い分野で、世界中の開発者に利用されている、定番のゲームエンジンです。
2D、3Dの両方に対応していて、アセットストアには豊富な素材もあり、自由度が非常に高いので、本格的なゲーム開発が可能です。
このため、モバイルゲーム、PC向け、家庭用ゲーム機向けなど、様々なジャンルのゲーム開発に採用されており、多くの開発者がコミュニティで活発に情報交換やサポートを行っています。
まとめ
シミュレーションゲームは、現実の仕組みを再現しながら、自分だけの世界を形にしていくジャンルです。
近年はAIやネットワーク技術の発展により、キャラクターや世界そのものがプレイヤーに応じて変化する時代となりました。ゲームの中で「自分だけの世界を築く」ことは、いまや特別な体験ではなくなっています。
街を育てたり、誰かの人生を見守ったり、時には歴史そのものを動かしたり――
試行錯誤を重ね、思考を巡らせる時間の中に、ゲームならではの豊かさが息づいています。
そんな体験の積み重ねが独特の深みを生み出し、気づけばあなたも、次の一手を考えながら、時間を忘れて没頭しているかもしれません。
現実の縮図を手のひらで操る感覚は、どんな映画や小説とも違った没入感を与えてくれるでしょう。
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