
ペットがそばにいてくれる安心感、癒しや和み、そして少しの責任感。
「バーチャルペットゲーム」は、そんなリアルなペット体験を、画面や仮想空間を通じて味わえる魅力的なジャンルです。
今回は、バーチャルペットを扱ったゲームの成り立ちや進化、代表的な作品などをご紹介します。
バーチャルペットゲームとは?
バーチャルペットゲームは、プログラムによって制作された仮想のペットを育成、あるいは管理し、ペットの愛玩体験を楽しむゲームジャンルです。
パソコンやスマートフォン(スマホ)、ゲーム専用機のソフトウェア、またはハードウェア内で、画面越しにキャラクター(犬や猫、魚、架空の生き物など)の世話をして、その成長を見守ったり、反応を楽しんだりします。
バーチャルペットゲームの主な特徴
それではさっそく、バーチャルペットゲームの主な特徴とその魅力についてみていきましょう。
育成と、成長・進化によるペットの独自性
バーチャルペットゲームの魅力の中心にあるのは、ペットを「育てる」という体験です。
ごはんをあげたり、掃除をしたり、遊んだりといった日々のお世話が必要で、プレイヤーとの関わり方によってペットの性格や姿が変化する点も特徴です。
おもちゃやアプリなど、媒体は様々ですが、この「お世話をする」という行為がゲームの核となっています。
また、成長・進化の分岐やカスタマイズによって個性を出せる要素は、自分のペットへの愛着を深めてくれます。
継続的な関係
バーチャルペットゲームは基本的に継続的な関わりを前提として設計されており、放置すると機嫌が悪くなったり、場合によっては「お別れ」が訪れることもあります。
だからこそ、毎日お世話することに意味があり、ペットに対するリアルな責任感や、達成感が生まれます。これは「育てる」ゲームの本質がここにあるといえるでしょう。
カスタマイズ性の高さ
さらに、ペットが居る空間を、自由にデコレーションできるのも楽しみの一つです。
ペットの見た目、ペットがいる部屋のインテリア、アクセサリーなどを自由にカスタマイズできるゲームも多く、自分だけのペット空間をつくることが可能です。
インタラクティブなコミュニケーション
また、近年では技術の進化に伴い、タッチや音声、ARカメラなどを使って、ペットのよりリアルな反応を楽しめるタイトルが増えてきました。
AI技術を活用したものでは、ペットとのより自然なコミュニケーションが可能になっています。AR(拡張現実)やVR(仮想現実)の導入によって、まるで現実世界でペットと共に暮らしているかのような臨場感も実現されつつあります。
バーチャルペットゲームの歴史と発展
このように、様々な特徴を併せ持ったバーチャルペットゲームというジャンルは、技術の進歩とともに着々と進化を続けてきました。
ここからは、その変遷を年代別にみていきましょう。
はじまりの時代
バーチャルペットゲームの始まりは1990年代にさかのぼります。
1996年に登場した『たまごっち』は、携帯型のおもちゃとして大ブームを巻き起こし、デジタルなペット育成という新しい遊び方を定着させました。
同時期にPC向けソフト『アクアゾーン』も登場しており、リアルな魚の観察を楽しむシミュレーション型のスタイルも注目を集めました。
モバイル時代の到来
その後、1990年代末から2000年代初頭には、携帯電話の普及によりアプリ型の育成ゲームが広がり、通勤・通学の合間に気軽にペットと触れ合うことができるようになりました。
他方、手のひらサイズの専用デバイスも人気を保っており、バーチャルペットはより日常に寄り添う存在になっていきます。
スマホとネットの融合
2010年代に入ると、スマホの登場によってバーチャルペットはさらに進化します。
タッチ操作やネットワーク通信を活用した、無料で始められる育成ゲームアプリが増加し、他のユーザーと交流できるソーシャル要素も加わって、楽しみ方の幅が一層広がりました。
AR/VRとAIの登場
そして近年では、ARやVR、AIといった技術の発展により、バーチャルペットが現実世界に存在しているかのような体験が可能となりました。
スマホ画面に映し出されるペット、仮想空間での触れ合い、さらにはAI搭載のペットも登場し、バーチャルペットは単なるゲームを超えて、共に過ごせる「デジタルな相棒」へと進化しています。
類似ジャンルとの違い
さて、バーチャルペットゲームと似た要素を持つゲームジャンルは他にもありますし、「バーチャルペットゲーム」自体「育成シミュレーションゲーム」の一種であると言えます。
しかし、見た目の印象は近くても、体験の重心や目的には明確な違いがあります。次は、その違いについてみていきましょう。
育成シミュレーションゲーム
上述のとおり、バーチャルペットゲームも育成シミュレーションゲームの中の1ジャンルと言えますが、育成シミュレーションゲームは、対象がペットに限られず、人間や組織、町、植物など、範囲が幅広いです。
プレイヤーは成長の条件や数値を管理し、計画的・長期的な育成戦略を立てます。
例として、農場経営や、アイドル育成、人間教育などがあり、対象への愛着やコミュニケーションよりも、計画通りに成果を出すことや、成長システムを攻略する達成感が主眼になっています。
また、バーチャルペットゲームと比べて、ストーリー性が強い傾向もあります。
箱庭ゲーム
箱庭ゲームは、ペットや個別キャラクターの成長よりも、世界そのものの構築や管理を楽しむことを目的としています。
小さな庭から街全体、あるいは宇宙まで、自由に空間を設計できる作品も多く、プレイヤーは環境や社会の発展を自由度高くデザインできます。
そこに登場するペットやキャラクターはあくまで世界の一部として存在し、直接的なケア(=お世話)や育成はメインではありません。自由に作り込み、変化を与え、環境全体を管理することが、このジャンルの核となっています。
バーチャルペットゲームは一個体に感情移入し、ペットの世話や交流を通して関係を築く体験が中心であるのに対し、育成シミュレーションは対象や目的が広く、計画性やシステム的な成長管理が重視されます。そして、箱庭ゲームは世界や環境そのものを創り上げることが目的です。
共通する要素を持ちながら「どこに楽しみを見出すか」の違いが、各ジャンルを特徴づけていると言えるでしょう。
バーチャルペットゲームの人気・有名タイトル
ここからは、バーチャルペットゲームの数多ある作品のなかから、特にジャンルに大きな影響を与えた代表的なタイトルをいくつかご紹介していきます。
『Nintendogs』
『Nintendogs』は、バーチャルペットゲームに大きな革新をもたらしました。
ニンテンドーDSのタッチパネルやマイクを活かして、犬を撫でたり名前を呼んだり、芸を教えたりできる直感的な操作は、まるで本物の犬と触れ合っているような感覚を味わえます。
ゲームでは散歩やしつけ、フード管理といった日常的なお世話に加えて、ドッグコンテストや競技に挑戦する要素もあり、育てた成果を実感できるのも魅力です。
本作は世界中でヒットし、幅広い世代にバーチャルペットの楽しさを広めただけでなく、その後の育成ゲームやスマホアプリにも名前付けや音声認識、3Dコミュニケーションといった要素を根付かせました。
バーチャルペットを単なるデジタルの存在から、日常の中で心を通わせるパートナーへと進化させ、新たなスタンダードを作り上げた作品です。
『デジタルモンスター(デジモン)』
『デジタルモンスター』は、1997年に『たまごっち』の派生企画として誕生しました。エサやりやトレーニングといった日常のお世話に加え、育てたデジモン同士を戦わせる対戦機能を搭載した点が大きな特徴です。
本体同士を接続して行うバトルは画期的なもので、それまで「育てるだけ」だったバーチャルペットに、他プレイヤーと「戦う」という体験を導入することで、コミュニケーション性と戦略性を加えました。
また、アニメ、ビデオゲームなど多方面にわたるメディアミックスを展開し、「デジタルワールド」という独自の世界観を確立しました。
育成と冒険を融合させた物語性は、以降の育成+バトル型ゲームやキャラクターIPの展開手法に大きな影響を与え、現代まで続くジャンル全体のスタンダードとなっています。
シリーズは現在も新作やコラボが続き、仮想世界やデジタルアイデンティティといったテーマを身近に感じさせる存在であり続けています。
『Peridot(ペリドット)』
2023年にリリースされた『Peridot』は、最新のAR技術とAIを組み合わせて、バーチャルペットゲームの新しい形を作り出しました。
スマホのカメラ越しに登場する「ドット」は、本当にそこにいるかのようなリアルさで動き回り、現実の障害物や地形を認識して行動し、時には予想外の反応を見せることもあります。
遊びの舞台は現実世界そのもので、プレイヤーは一緒に散歩したり、AR写真を撮ったりしながら絆を深められます。
最新技術を活用して現実世界をそのままペットとの遊び場に変えた、意欲的な作品です。
バーチャルペットゲームに仕事としてかかわるには?
バーチャルペットゲームの主要素はペットを「育てる」という体験です。
ここでは、バーチャルペットの魅力や育成体験を、どう提供していくかという点に注目しながら、開発にかかわる職種をいくつかご紹介します。
ゲームプランナー
ゲーム全体の企画や構成を考えるポジションです。
バーチャルペットゲームのプランナーは「どんなペットを育てるか」「ユーザーとどう触れ合えるか」「成長や反応の仕組みをどう設計するか」といった、ゲーム体験全体の設計図を描く役割を担います。
このジャンルはAR/VRやAIなど新しい技術を活用するチャンスも多いので、好奇心や情報感度の高さは大きな強みになります。
また、他の同ジャンルゲームとどう差別化していくか、といった観点も重要です。日頃からさまざまなゲームをプレイして、意識的に分析する習慣を持つとよいでしょう。
▼ゲームプランナーについてはこちらで詳しく紹介しています!
2D/3Dデザイナー
バーチャルペットゲームのデザイナーは、魅力的なペットや世界観を形にする重要なポジションです。
2Dデザイナーは、かわいらしいタッチからリアルな描写まで幅広く対応し、ペットや背景を描き分け、3Dデザイナーは、ペットを立体的にモデリングし、生き生きと動かすことで魅力を引き出します。
実際の動物の仕草や感情を観察し、それを自然に再現する表現力が求められます。また、AR/VRやリアルタイムレンダリングなどの新しい技術に挑戦する好奇心も大きな強みになるでしょう。
ユーザーが愛着を持てるデザインを生み出し、常に新しいトレンドや技術を学び続ける姿勢が大切です。
▼2D/3Dデザイナーのお仕事についてはこちらで詳しく紹介しています!
プログラマー
バーチャルペットゲームのプログラマーは、ペットが生き生きと動き、ユーザーに反応する体験を実現する役割を担います。行動パターンや成長アルゴリズムの実装をはじめ、ゲームの技術面を幅広く支えます。
最近ではAIやAR/VRの導入も進んでおり、こうした先端技術への対応力があると活躍の場が広がります。技術力の向上だけでなく、「ペットをもっと魅力的に見せたい」という熱意も成果を大きく左右するでしょう。
加えて、チーム開発では仕様の調整や課題解決を円滑に進めるための柔軟なコミュニケーション力も欠かせません。
▼ゲームプログラマーのお仕事についてはこちらで詳しく紹介しています!
制作ツール
バーチャルペットゲームの制作に使えるツールは幅広く存在しますので、作りたい規模や、やりたい表現レベルに応じて、適切なものを選びましょう。
ここでは代表的なツールをいくつかご紹介します。
Unity
Unityは、幅広い分野で、世界中の開発者に利用されている、定番のゲームエンジンです。
2D・3Dの両方に対応しており、物理演算やUIまわりにも強く、インディーゲームだけでなく『Peridot(ペリドット)』等の世界的なバーチャルペットゲームの大規模展開にも利用されています。
RPGツクールシリーズ
プログラミング不要で、直感的にゲーム制作が可能です。
RPGの製作に特化したツールですが、工夫してペット育成シミュレーションの製作にも利用されることがあります。
Unreal Engine
高精度なグラフィックやリアルな物理表現を活かした3DゲームやVR制作に強みがあり、リアルで緻密な表現が求められる大規模開発案件向きのゲームエンジンです。
ブループリント機能でロジック設計もローコード対応が可能です。
まとめ
バーチャルペットはデジタル時代の人間の「相棒」であり、バーチャルペットゲームは、「現実ではペットを飼えない」ユーザーにも、場所や制約を超えてペットと時間を共にし、絆を育む体験を提供するジャンルです。
技術の進化によって、ペットのリアルな存在感が増し、手軽な無料アプリから本格的なVR体験まで、多様な形で楽しめるようになりました。
気軽に始めたい方には、スマホアプリやクラシックなおもちゃタイプがおすすめです。
もっと没入したい方にはARやVR対応のタイプが良いでしょう。
あなたも、あなただけのバーチャルな「相棒」を育ててみませんか?
ゲームクリエイターのお仕事探しならコンフィデンスクリエイター
Confidence Creator(コンフィデンスクリエイター)はゲーム・エンタメ業界に特化した人材事業を展開する株式会社コンフィデンス・インターワークスが提供する総合人材(派遣・無期雇用派遣※・紹介)サービスです。
ゲーム・エンタメ業界の大手・上場企業を中心に300社以上の取引実績を持ち、常時月間300件以上の新規案件を保有。 コンフィデンスクリエイターにしかない非公開案件も多数ございます。
これまでゲーム・エンタメ業界で築いてきた信頼関係の強さを活かし、制作現場を熟知したコンサルタントがゲーム・エンタメ業界で働くみなさまのご経歴やご希望、これからのキャリアビジョンに応じて最適なマッチングを行います。
ゲーム・エンタメ業界でのキャリアアップを目指す方も、ご自身のキャリアについて漠然と悩みを持っている方も、まずはお気軽にご相談ください!
※無期雇用派遣とは?
株式会社コンフィデンス・インターワークスの「正社員」として雇用契約を結びますが、実際の就業先は、ゲーム・エンタメ企業での常駐勤務となります。「正社員」としての安定した雇用がありながら、大手企業をはじめとするさまざまなプロジェクトに携わりスキルを積むことができますので、成長意欲の高い方におすすめの働き方です。