
ゲームの世界をより魅力的に見せるために、映像的な演出は欠くことのできない重要な要素です。
その制作に使われている代表的なツールのひとつが、Adobeの「After Effects」です。
初心者でも取り入れやすく、ゲーム業界でも幅広く活用されているこのソフトについて、今回はどんなことができるのかを中心にご紹介します。
After Effectsとは
After Effectsは、Adobeが提供している、映像のデジタル合成やモーショングラフィックス、タイトル制作などの映像加工に特化したソフトウェアです。ゲーム、アニメ、webなどのコンテンツ制作や、映画・テレビ番組の映像加工、CM制作などに幅広く利用されています。
基本は2Dの映像加工ソフトですが、3Dの作業空間もあるため、2Dの映像だけでなく3Dのモデリングデータや、カメラ、ライトもその空間内に配置することができ、ゲーム業界では主にエフェクト制作に使用されています。
▼After Effectsの概要や利用料金についてはこちらで詳しく紹介しています!
After Effectsでできること
After Effectsは、一つの素材にレイヤーを重ねるなどして特殊効果をかけることを得意としています。つまり動画などの要所要所で効果的に使われる「素材作り」が得意なのです。
それでは、After Effectsの特徴的な機能をご紹介します!
①エフェクト制作・映像加工
After Effectsは素材作りが得意とお伝えしましたが、特にエフェクト制作を得意としています。
爆発や炎、光といったエフェクトの制作から、映像への合成までAfter Effectsで完結できます。
何も無いところから爆発を起こすことも可能で、エフェクトの種類も豊富にあるため、デザイナーのイメージ通りの表現が可能です。
また、映像の色調補正といった機能も備わっており、後から動画のイメージを変えたい場合にも重宝します。
②ビジュアルエフェクト(VFX)
ビジュアルエフェクトは視覚効果という意味で、「現実に対して加工を施した映像」のことを指します。
一方、よくビジュアルエフェクトと混同されがちなCGは「コンピューター上で作られた映像」のことを指しており、加工する対象によって区別されています。
ビジュアルエフェクトの例として、映画『スパイダーマン』をイメージすると分かりやすいかと思います。例えば、スパイダーマンが街の中を飛び回ったりする場面で、現実の街の風景に、スパイダーマンが糸を使って空中を移動するシーンが合成されています。
他には、ワイヤーアクションを行った際に流れる映像は現実の人間が動いているものですが、そこからワイヤーだけを消す加工をするのもビジュアルエフェクトです。
③モーショングラフィックス
モーショングラフィックスは文字やイラストなどに動きや音をプラスする映像表現です。モーショングラフィックスを用いることで、例えば静止画の資料をただ見せるよりも、視覚的に情報を得られるため、内容を正確に伝えることができたり、テンポよく伝えることが可能になります。
これはさまざまな企業の広告(CM)などでも多く使用されています。
④3Dトラッキング
3Dトラッキングとは、任意のポイントを配置することでカメラの動きを3D化させることです。これによって動画内のオブジェクトを3D化することが可能です。
例えば、バレーボールの試合でセッターがトスを上げアタッカーがスパイクを決めるという一連の流れがあったとき、解説でボールが相手から撃ち込まれてスパイクが決まるまでの軌道が立体的な線で表示されることがあると思います。この立体的な線は実際の映像からボールの軌道や速度、角度などのデータを算出・解析しCGデータとして合成しています。
ここまで読んで「こんな難しそうなことできるわけない…。」と思った方も安心してください!After Effectsにはエクスプレッション(アニメーションやパラメーターを自動制御できる機能)や無料のプラグイン(拡張機能)がたくさんありますので、それらやテンプレートを使用すれば初心者でも簡単に映像加工が楽しめます!
After Effectsとゲームエンジン
さて、ここでAfter Effectsのエフェクトとゲームエンジンのエフェクトの違いと連携について、確認しておきましょう。
After Effectsとゲームエンジンのエフェクトの違い
After Effectsで作ったエフェクトは、事前に映像をレンダリングして書き出し、動画ファイルとして再生する形で利用され、主にゲーム作品のオープニングやエンディングムービー、プロモーション映像などに用いられます。
処理時間やデータ容量の制限が少ないため、派手な必殺技のカットインや画面全体を彩るマスク処理を含む演出など、高品質で複雑なアニメーションや映像加工が可能です。
ただし、After Effectsで作ったエフェクトはリアルタイム処理に直接使うことはできません。
逆に、UnityやUnreal Engineといったゲームエンジンで作るリアルタイムエフェクトは、ゲームプレイ中の爆発や魔法、環境演出などの、インタラクティブで即時反応が求められる表現に向いています。
ただし、ゲーム内で常にリアルタイム処理が行われるため、軽快な動作を保つ工夫が欠かせません。
このように、After Effectsは「高品質で重厚な映像制作」に適しており、ゲームエンジンのエフェクトは「軽量で即時性のあるインタラクティブ表現」に強みがあります。
After Effectsとゲームエンジンの連携
ゲーム開発の現場では、双方の利点を生かすために、After Effectsで作成したエフェクトを、ゲームエンジン(Unityなど)で扱える形式でエクスポートしてゲームオブジェクトとして使用したり、ゲームエンジン側でシェーダーを使って再現することで、After Effectsで制作したエフェクトをリアルタイムエフェクトの素材として再現するといった対応もしています。
両者は補完関係にあり、映像的な演出を追求するのか、リアルタイム性を優先するのかを、必要に応じて使い分け、時に連携することが重要になりますので、導入時には、Premiere Proやゲームエンジンとの連携、プラグインの活用などを意識するとよいでしょう。
After Effectsを使用する職種
After Effectsは、デザイナーやアニメーター、コンポジッターが使用するツールです。
特にデザイナーは2D・3Dデザイナーどちらでも使用され、企業によってはエフェクト制作専任の「エフェクトデザイナー(エフェクター)」という職種もあります。
また、将来的にプロの映像クリエイターになりたい、映画やCMを作れるようになりたい場合はAfter Effectsを扱えるとよいでしょう。PremiereとAfter Effectsの両方を使えるクリエイターはまだそこまで多くないので、より活躍の幅が広がるかもしれません!
▼ゲーム業界の映像クリエイターについてはこちらの記事で詳しく解説しています!
まとめ
After Effectsは単体で完結するソフトではありませんが、ゲームの映像演出において欠かせない役割を担っています。爆発や光のエフェクト、文字のアニメーションなど、ゲームの表現力を高めたい人にとって、習得する価値のあるツールです。
これから学習を始める方は、まずはシンプルなアニメーションや文字演出から取り組み、少しずつプラグインやエクスプレッションを活用して表現の幅を広げていくと良いでしょう。
慣れてきたら自分で作った映像をゲーム素材として書き出して使い、実際のゲーム制作に組み込むことで理解がさらに深まります。
すでにAfter Effectsを使いこなせる方も、新しいプラグインの導入や、ゲームエンジンとの連携を意識した制作に挑戦することで、表現の幅をさらに広げることができます。これまで映像作品中心でAfter Effectsを使ってきた方も、ゲームというインタラクティブなメディアでの演出に応用してみると、また新たな発見があるはずです。
ゲーム制作に関心のある方はもちろん、すでにAfter Effectsを扱える方もさらに表現力を磨き、自分ならではの演出を形にしてみてください。
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