
海外で大ヒットしているゲームジャンル、MOBA。
何千万というプレイヤーが熱中し、世界大会やプロリーグまで存在しているのに、日本ではあまり話題にならず、不思議に感じたことはありませんか?
海外でこれほどまでに人気を集めているMOBAが、どうして日本では広がりにくいのでしょうか。
その理由を考える前に、まずはMOBAというジャンルを少し振り返ってみましょう。
MOBAの成り立ちと特徴
MOBAはMultiplayer Online Battle Arena(マルチプレイヤーオンラインバトルアリーナ)の略称です。複数のプレイヤーが2つのチームに分かれて競い合うゲームで、最終目的は敵陣にある本拠地を破壊することです。試合はマップ上に存在する複数のレーンで展開され、プレイヤーはそれぞれ異なる役割を持って対戦を進めます。
また、このジャンルはRTS(リアルタイムストラテジー)から派生したもので、代表的な起源は『Defense of the Ancients(DotA)』にあり、このゲームの成功によってジャンルが確立されました。
その後、『League of Legends(LoL)』や『Dota 2』が登場し、世界的な人気を得る中で「MOBA」という呼び方が定着しました。
▼MOBAについてはこちらの記事で詳しく解説しています!
なぜ日本人はMOBAを「難しい」と感じるのか?
MOBAは海外での圧倒的な人気ぶりとは裏腹に、日本では「難しい」「わかりにくい」と敬遠されがちです。ではなぜ、そのように感じられるのでしょうか?
日本ゲーム市場傾向とMOBA
日本ゲームは分かりやすい
日本では早い段階から家庭用ゲーム機が広く普及し、沢山のゲームが遊ばれてきました。
若年層やファミリー層のライトなプレイヤーが多く、たとえば『スーパーマリオ』のようになんとなく手に取ってみただけでも、そのまま直感的な操作で遊べるように設計された作品が大ヒットしてきたという歴史的な背景があります。
MOBAはルールが複雑
MOBAは2000年代、ゲームにオンライン要素が加わり始めた頃に生まれたジャンルで、複数のプレイヤーが2つのチームに分かれて競い合うゲームです。
ルールが複雑で覚えることが多く、予備知識のない状態でプレイしても、十分にゲームを楽しむのは容易ではありません。
そのため、どちらのチームが有利なのかが画面上では分かりづらく、さらに戦略やチームの連携が勝敗を大きく左右するため、初めて触れる人には「難しい」と感じられる要素が多くあります。
MOBAが日本で流行らない理由
世界的には絶大な人気を誇るMOBAですが、日本では海外ほどの盛り上がりを見せていません。その背景には、前述した難しさ以外にも、いくつかの文化的・環境的な要因が重なっています。
では、それはどういった理由によるものなのか、これから順に見ていきましょう。
文化面:ルールの複雑さとゲームの嗜好
前の段落でもご説明しましたが、日本のゲーム市場ではファミコン時代から続く「誰でもすぐ理解できるルール」の文化が定着しており、シンプルで直感的に遊べる作品が支持されてきました。
この「誰でもすぐ理解できるルール」に慣れているユーザーに新たに訴求する際に、MOBAの「ルールが複雑で、覚えることが多い」という点は、やや不利に働きます。
さらに、優劣や進行が直感的に分かりにくく、1試合が30分以上かかることもあるので、短時間で満足感を得られるゲームを好む日本のプレイヤーには、ハードルが高く感じられる傾向があります。
環境面:PCゲーム文化の浸透度
MOBAの代表的タイトルは『League of Legends』や『Dota 2』など、PCを前提としたゲームが中心です。
しかし、日本のゲーム市場は家庭用ゲーム機やスマートフォン(スマホ)が主流で、PCで本格的なオンライン対戦を行う文化は、海外に比べるとあまり浸透していません。
そのため、PCゲームが中心のMOBAは、日本のユーザーにとってそもそも体験する機会が少なく、気軽には手を出しにくいという現状があります。
プレイスタイル:チームプレイへの心理的ハードル
MOBAはチームプレイが前提のジャンルです。リアルタイムのチーム連携や役割分担が必須で、チーム全体での戦略や連携が勝敗を左右します。一人ひとりが勝利のために自分の役割を担い、勝敗の責任も明確で、試合中はチーム内での連携や戦略的なコミュニケーションが必要です。
しかし日本では、こうした役割分担を前提としたタイトルがあまり存在しませんでした。また、日本のゲームは個人の腕前やスコアを競うジャンルが多く、日本のユーザーには「自分のペースで進めたい」傾向も根強くあります。
そのためMOBAの「分担して、連携・協力する」というスタイルとは相性が悪かった面もあるのです。このようなプレイスタイルの違いも、日本でMOBAが広がりにくい一因でしょう。
こうしてみると、日本でMOBAが広がらない理由は単一ではなく、文化的背景、ゲーム環境、プレイスタイルといった、複数の要素が絡み合っていることが分かります。
日本でMOBAが広がる可能性
ここまで日本でMOBAが浸透しにくい背景を見てきましたが、普及の兆しも着実に現れていますので、順にみていきましょう。
日本のeスポーツ市場が拡大
近年、日本のeスポーツ市場は着実に拡大しています。
それに伴い、大会や配信、体験イベントなどを通じてMOBAの魅力も徐々に浸透しはじめました。この背景には、国内大会シーンの発展と若年層への浸透があります。
目立った動きとして『League of Legends Japan League(LJL)』といったMOBAのプロリーグの定着があり、世界を目指すプロチームの活躍が、10代・20代を中心に話題を集めています。
さらに、Nintendo Switchやスマートフォンなど複数デバイスに対応したクロスプラットフォーム化が進み、プレイヤーが自分の環境に合った方法でMOBAを楽しめるようになっています。
また、日本語対応や解説コンテンツの充実も、初心者が安心して始められる環境づくりを後押ししており、MOBAの裾野は確実に広がりつつあります。
スマホMOBAの拡大
スマホを舞台にしたカジュアルなMOBAの存在感も、大きくなっています。
特に『モバイルレジェンド』『アリーナ・オブ・ヴァラー』『#コンパス 戦闘摂理解析システム』といったタイトルが人気を集め、スマホと5G通信の普及により、場所や時間を問わず、手軽にプレイできる環境が整いました。
加えて、短時間で遊べるルール設計や基本無料モデル、『ポケモンユナイト』や『ONE PIECE バウンティラッシュ』といった有名IPとのコラボレーションなどが、これまでMOBAに馴染みがなかったカジュアルユーザー層にも受け入れられています。
こうした動きが続けば、日本でもMOBAがより身近なジャンルとなり、将来的には日本独自のヒット作が誕生する可能性も十分にあるでしょう。
MOBAに仕事として関わるには?
では、MOBAにかかわる仕事には、どのようなスキルが必要になるでしょうか。
開発や運営にはさまざまな職種が関わりますが、どの職種であっても、まず重要なのはMOBA特有のルールや競技性を深く理解することです。
前提として、MOBAは常にバランス調整やメタの変化があり、それが競技シーンとも密接に結びついています。そのため、開発や運営に携わるメンバーには、チームワークへの高い適性や、変化する環境に柔軟に対応する力が求められます。
たとえ未経験でも「MOBAゲームをやり込んでいる」「分析レポートやルール提案が得意」といった点は、大きな強みとなるでしょう。
ゲームプランナー
複数プレイヤーが同時に対戦する構造や、チーム戦ならではの複雑なルール設計、そして公平な競技性を成立させるには、精緻なゲームシステムの設計とバランス調整が欠かせませんが、この重要な役割を担うのがゲームプランナーです。
さらに、MOBAはeスポーツシーンとの関わりも深いため、プランナーには競技としての特性や大会運営の流れを理解しておくことが求められます。このジャンル特有の戦略性やゲーム進行への理解が、開発現場での大きな強みとなるでしょう。
▼ゲームプランナーについてはこちらで詳しく紹介しています!
デバッガー
MOBAの開発には、デバッガーをはじめとした品質管理チームが重要な役割を担います。
MOBAは数多くのキャラクターやアイテムが存在し、バランス調整やアップデートに伴う影響範囲が非常に広くなるため、デバッガーは膨大な組み合わせや状況を丁寧に検証する粘り強さと、仕様への深い理解が求められます。こうした地道な作業が、競技性を支える大きな力となっているのです。
▼デバッガーについてはこちらで詳しく紹介しています!
制作ツール
MOBAのような多人数対戦ゲームを作るには、たくさんのプレイヤーが同時に遊んでも安定して動くゲームエンジンが必要です。ここでは、MOBA開発の際に世界中でよく使われている3つのエンジンをご紹介します。
Unity
Unityは今もっとも幅広く使われているゲームエンジンのひとつです。
2D・3Dどちらの開発にも対応しており、マルチプラットフォーム対応が強力で、PC・スマホ・コンシューマー機と、柔軟に展開できます。
また、アセットや解説資料が豊富なので、初心者からプロの現場まで幅広く使われています。MOBAのような多人数対戦ゲームでは、通信や同期の仕組みを追加することで、安定したオンラインプレイを実現できます。
Unreal Engine
高品質なグラフィック表現やリアルタイムレンダリング技術に強みを持つゲームエンジンです。
ビジュアルスクリプティング機能(Blueprint)により、プログラミング知識がなくても複雑なロジックを構築できます。さらに無料で使い始めることができるうえ、大規模な対戦やeスポーツのような高負荷のゲームにも対応できる性能も持っています。
Cocos2d-x
Cocos2d-xは、軽くて動作が速い、オープンソースのゲームエンジンです。主に2Dゲームを作るのに使われ、スマホアプリやカジュアルなMOBA制作によく用いられています。
無料で商用利用できるためコスト面でも有利で、アジア地域のスマホMOBAタイトルで多く採用されています。
まとめ
MOBAは高度な戦略性と瞬間的な判断力、そしてチームワークが魅力のジャンルです。
しかし、日本では「気軽さ」や「分かりやすさ」を重視する文化、PCゲームへの馴染みの薄さ、ルールの複雑さといった要因が組み合わさり、いまだ海外ほど広く浸透していません。
それでも、スマホ版MOBAの登場やeスポーツの普及など、環境は着実に変化していますので、これからMOBAが日本でどのように受け入れられていくのか、MOBAに興味をお持ちの方はぜひ、今後の動向に注目してみてください!
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