業界知識

25.03.13

モーションデザイナーとは?仕事内容や求められるスキルを解説

ゲームやアニメなどで当たり前に使用されている3DCGですが、キャラクターをどのように動かしているかご存知でしょうか。

3DCGモデルは単体では動かすことができませんが、さまざまな設定をすることで動かせるようになり、このような3DCGモデルに動きを付けることを「モーションデザイン」と言います。

本記事では、ゲーム・エンタメ業界に特化した総合人材サービス『Confidence Creator』に掲載している案件を参考に、ゲーム業界の3Dモーションデザイナーについて仕事内容や求められるスキル、なるための方法などをご紹介します。

3Dモーションデザイナーとは

3Dモーションデザイナーとはモーションアーティストとも呼ばれ、3DCGのキャラクターに動きを付けることで、感情を表現したり躍動感を与え、ゲームの面白さをプラスする役割を持っています。
3DCGデザイナーの中でも「動き」に特化しており、専門的な知識や技術が求められます。

また、2Dの領域でもモーションデザイナーという職種は存在します。

CGアニメーターとの違い

モーションデザイナーと混同される職種として、CGアニメーターという職種があります。

CGアニメーターはCGに動きを付ける仕事で、3Dモーションデザイナーと仕事内容などに大きな違いはありません
つまり、アニメーターだからキャラクターの感情やストーリーの表現をメインに行う、モーションデザイナーだからキャラクターに動きを付けるだけ、ということではありません。

また、ゲーム業界でも企業やプロジェクトによって、アニメーターとモーションデザイナーの呼び方が異なる場合があるため、求人を見る際は職種名だけでなく仕事内容もしっかり確認すると良いでしょう。

仕事内容

続いて、3Dモーションデザイナーの仕事内容を大きく3つに分けて解説します。

①リギング

リギングは、モデルに動きを付けるために骨組みや回転軸などを設置する作業のことを指します。
リグ(骨組みや回転軸)を設置することで、モデルを動かすことができるようになったり、関節の動きをより滑らかにすることができます。

▼リギングについてはこちらの記事で詳しく解説しています!

②モーション作成

リギングを行ったモデルに動き(アニメーション)を付け、キャラクターの感情を表現したり、走る・ジャンプするといったアクションをさせます。

実際の人間が動いているようなリアルな表現から、実現が難しいアクションなどの動きを付け、ゲームに臨場感や没入感をプラスします。

この時、実際の人間や動物、モノの動きとかけ離れすぎないように注意が必要です。

③実装

モーションができた後は、いよいよゲームへ実装していきます。

ここでは、プログラマーやエンジニアと連携して、組み込まれたモーションデザインデータが正しく動作するか、全体で見たときに違和感が無いかを確認し、必要に応じて修正を行います。

求められるスキルと経験

3Dモーションデザイナーに求められるスキルや経験を5つご紹介します。

①3DCGツールとゲームエンジンのスキル

ゲーム開発におけるモーション制作では、Mayaの経験を求められる場合が多いですが、Maya以外の3ds MaxやLightwaveといった3DCGツール(DCCソフト)の使用経験があれば転職は可能です。

また、2Dのモーションデザイナーの場合はSpineやLive2Dなどがよく使用されます。

▼ゲーム業界で使用される3DCGツールについてはこちらの記事で詳しく解説しています!



ゲームエンジンは制作したモーションの実装で使用し、UnityまたはUnreal Engineの経験が求められます。
どちらのゲームエンジンが求められるかは、開発するゲームのジャンルやプラットフォーム、開発規模によって異なります。

▼UnityとUnreal Engineについてはこちらの記事で比較しています!


②モーションキャプチャーの使用経験

モーションキャプチャーとは、体に「マーカー」と呼ばれる印を付け、カメラやセンサーを使ってその動きと位置を3次元で測定し、データ化する技術のことです。

モーションデザイナーになるにあたって、モーションキャプチャ―の使用経験があったり、キャプチャーデータの扱いができると歓迎されることがあります。

リズムゲームやアクションゲームといったジャンルやVTuber関連の制作は、モーションキャプチャーを使用することも多いので、これらのジャンルの開発に携わりたい方は習得してみると良いでしょう。

▼モーションキャプチャ―についてはこちらの記事で詳しく解説しています!

③手付けモーションのスキル

手付けモーションとは、モーション制作における手法の1つでキーフレームアニメーションとも呼ばれ、モーションキャプチャーなどは使わずデザイナーが動きを1から設定し動きを付ける方法です。

▼手付けモーションについてはこちらの記事で詳しく解説しています!



また、モーションキャプチャーを使用してモーション制作をする場合でも、モーションキャプチャーでは握手したときに相手の手を貫通してしまったりすることがあるため、よりクオリティをあげたり、現実に近い表現といった細かい部分はどうしても人力で調整する必要があります。

そのため、手付けモーションはモーションデザイナーにとって非常に重要かつ身に着けておきたいスキルです。

④絵コンテ作成経験

モーションを制作する前段階で、プランナーを中心にどのようなシーンを作るのか打ち合わせを行いますが、その際に使用するのが絵コンテです。

絵コンテは、ストーリーボードともよばれ、簡単なイラストを用いてストーリーやシーンをわかりやすく可視化したものを言います。

モーションデザイナーは、バトルシーンや回想シーンの制作に深く携わる職種であり、絵コンテの作成も行うため、ゲーム以外のアニメや映像作品でも絵コンテの作成経験があると歓迎されます。

▼絵コンテについてはこちらの記事で詳しく解説しています!

⑤アニメ・映像・ゲームのカットシーンの演出経験

カットシーンとは、イベントシーンとも呼ばれストーリーの説明や回想シーンなどのムービーを指します。
また、カットシーンは使用する場面に応じてさまざまな目的や役割を持ち、ゲームの面白さやプレイの満足度に繋がる要素です。

モーションデザイナーはカットシーンにおけるアニメーションの制作も行うため、どのような演出をすればより効果的にキャラクターの心情が伝わるか、といった演出意図に関する知識や経験が求められることがあります。

▼ゲームのカットシーンについてはこちらの記事で詳しく解説しています!

向いている人の特徴

ここまで、モーションデザイナーの仕事内容や求められるスキルを解説してきましたが、どのような人がモーションデザイナーに向いているのでしょうか。
向いている人の特徴を5つご紹介します。

①アニメ・マンガ・ゲームに日常的に触れている

モーションデザインでは、現実的な動きの表現が重要と思う方も多いと思いますが、ゲームにおいては現実的な動きだけでなく、アニメやマンガっぽい「タメ」や「ポーズ」の表現も求められます。

そのため、日常的にさまざまなエンタメコンテンツに触れて表現や動きのレパートリーの引き出しを増やすことで、より魅力的なモーションデザインができるでしょう。

②基礎的なデッサン力がある

モーション作成の前段階のリギングという作業では、3Dモデルを動かすための骨組みを設定しますが、アクションシーンなど複雑な動きが多い場面のモーションを制作するときにデッサン力を活かせます。

デッサンでは空間や立体の把握力が身につくため、演出における画面内の遠近感のバランスが取れたり、キャラクターの手足がおかしな方向を向いてしまっているといったことを防ぐことができます。

③クオリティにこだわりを持てる

モーションデザインはゲームの要素の1つではありますが、キャラクターなどゲームの中心となる要素と関連性が強く、ゲームの面白さに直結する部分です。

そのため、指定されたモーションをただ作るだけでなく、「どうすればもっとキャラクターの魅力を引き出せるモーションが作れるのか」「ユーザーはどんな演出があると盛り上がるのか」といった細部のクオリティにこだわりを持てる人に向いています。

④細かい作業が得意

モーション制作では、1度動きを付けた後やモーションキャプチャーで撮影を行った後に細かい部分の調整を行います。

ちょっとした手指の角度や髪の毛のなびき方など、全体を見ながら微調整が必要になるため、細かい作業が苦にならずトライアンドエラーが繰り返せる人に向いています。

⑤コミュニケーション能力がある

モーションデザイナーに限った話ではありませんが、ゲームクリエイターにとってコミュニケーション能力は非常に重視されるスキルです。

モーション制作にはプランナーやプログラマーという他セクションとの連携が重要になります。
また、モーションキャプチャ―の収録などでは、撮影したい動きを演者にわかりやすく伝える力も必要です。

したがって、相手の意図を汲み取りながら、自分の意見や要望もわかりやすく伝えられる人に向いています。

3Dモーションデザイナーになるには

モーションデザイナーになるまでのキャリアパスと、なるためのポイント2つを解説します。

モーションデザイナーまでのキャリアパス

3Dモーションデザイナーになるには、モーションデザインの制作経験が求められることがほとんどで、経験が浅い方や未経験のかたにとってはややハードルが高いといえます。
そのため、スクールなどモーションデザインについて専門的に学べるところでスキルを身に着けてから転職するのがおすすめです。

また、3Dデザイナーとしてモデリングやライティングなどを身に着けてから、モーションデザイナーに転向することもできます。
例えば、モーション制作の実務経験が無くても他の3DCG制作のスキルや知識がある場合応募が可能なこともあるため、3DCG制作自体未経験の方は3Dデザイナーから目指すのもおすすめです。

3Dデザイナーの求人をさがす

ポイント①:資格を取得する

モーションデザイナーになるのに、必要な資格はありませんが、未経験からモーションデザイナーを目指す場合、CGクリエイター検定などの資格取得もおすすめです。

CGクリエイター検定に合格していることが採用の決め手になるわけではありませんが、一定の知識と技術があることの証明になります。

ポイント②:ポートフォリオを作成する

求人に応募する前には、必ずポートフォリオも作成しましょう。
ゲーム業界のデザイナー職の転職ではポートフォリオは必須になるので、ポートフォリオ用の作品を作りながらツールに慣れていきましょう。

ポートフォリオに掲載する作品は実務でも使われるMayaなどのソフトで制作できることが望ましいですが、Mayaなどプロ向けのソフトはやや高価であるため、まずは無料で利用できるBlenderなどのツールから初めても良いでしょう。

▼Blenderについてはこちらの記事で詳しく解説しています!



また、掲載できる作品が少ない場合などは、デッサンを掲載することで基礎画力や立体把握力といったプラスのスキルをアピールができます。

参考:https://confidence-creator.jp/qogl/2631/

モーションデザイナーはなくなる?

「モーションデザイナーはなくなる」と言われることもありますが、結論から言うと、モーションデザイナーがなくなる可能性は低いといえます。

そもそも、「モーションデザイナーがなくなる」と言われる理由としては、モーションキャプチャーが普及したことにあります。
具体的には、モーションキャプチャ―を使うことで簡単にアニメーションが付けれるため、モーションデザイナーがわざわざアニメーションを付ける必要が無いのではないかと言われています。

しかし、実際にモーションキャプチャーを使用してもそのままゲームに落とし込むことは難しく、演者とキャラクターの細かな体型の差はモーションデザイナーが細かく調整する必要があります。

さらに、実際に人が演じるのが難しい動きの表現や、セルルックと呼ばれるアニメ調のCGの場合はリアルすぎる動きと合わないため、モーションデザイナーが手付けでゲームやアニメっぽく見えるモーションデザインを行います。

▼セルルックについてはこちらの記事で詳しく解説しています!



つまり、

  • モーションキャプチャーのデータをゲームに落とし込むためには人力で調整が必要
  • 実際に演じることが難しい動きの表現は手付けの方が適している
  • セルルックなどアニメっぽい動きはキャプチャーでは難しい

といった理由から手付けアニメーションができるモーションデザイナーの需要は高く、今後も必要な職種といえます。

まとめ

本記事では、3Dモーションデザイナーについて、詳しい仕事内容や求められるスキルなどについて解説しました。

モーションデザイナーは3Dデザイナーの中でも「動き」に特化しており、専門的な知識やスキルが求められますが、ゲームの面白さの大きな部分を担う重要なポジションです。

本記事を読んで興味を持った方や、「ゲームではついついキャラクターの動きに注目しちゃう…」という方は、ぜひ3Dモーションデザイナーに挑戦してみてはいかがでしょうか。

ゲームクリエイターのお仕事探しならConfidence Creator

『Confidence Creator』はゲーム・エンタメ業界に特化した人材事業を展開する株式会社コンフィデンス・インターワークスが提供する総合人材(派遣・無期雇用派遣※・紹介)サービスです。

ゲーム・エンタメ業界の大手・上場企業を中心に250社以上の取引実績を持ち、常時月間300件以上の新規案件を保有。 Confidence Creatorにしかない非公開案件も多数ございます。

これまでゲーム・エンタメ業界で築いてきた信頼関係の強さを活かし、制作現場を熟知したコンサルタントがゲーム・エンタメ業界で働くみなさまのご経歴やご希望、これからのキャリアビジョンに応じて最適なマッチングを行います。

ゲーム・エンタメ業界でのキャリアアップを目指す方も、ご自身のキャリアについて漠然と悩みを持っている方も、まずはお気軽にご相談ください!

※無期雇用派遣とは?
株式会社コンフィデンス・インターワークスの「正社員」として雇用契約を結びますが、実際の就業先は、ゲーム・エンタメ企業での常駐勤務となります。「正社員」としての安定した雇用がありながら、大手企業をはじめとするさまざまなプロジェクトに携わりスキルを積むことができますので、成長意欲の高い方におすすめの働き方です。


著者・監修情報

Confidence Creator 編集部

運営元:株式会社コンフィデンス・インターワークス

『Confidence Creator』は ゲーム・エンタメ業界に特化した総合人材サービス(派遣・無期雇用派遣・人材紹介)です。ゲーム制作現場を熟知したコンサルタントがゲーム業界で働くみなさまのご経歴やご希望、これからのキャリアビジョンに応じ、最適なマッチングを行います。

編集部アイコン
かんたん仮登録無料

この記事をシェアする

  • X
  • Facebook
  • LINE
  • note

あなたに
ピッタリのプロジェクトを
一緒に見つけましょう

面談ではあなたのこれまでのご経験やスキル、
今後のキャリアプランについてお伺いします!

かんたん仮登録無料