業界知識

23.08.18

リアルさを追及する!ゲームのライティングって何?

VRやFPSゲームなど、3DCGはさまざまなところで使用されています。最近では、AAAタイトルと呼ばれる大型のタイトルを始め、そのグラフィックの高精細さやリアルさが注目されています。高精細でよりリアルさや立体感のある3DCGを作るにはどんな技術が必要なのでしょうか?
今回は、3DCGにおいて「リアルさを表現」するために欠かせない技術の1つである「ライティング」についてご紹介します。

ライティングとは光を当てるだけじゃない!

ライティングは、3DCGで作った仮想空間にさまざまな光を当てることで陰影をつけ「リアルさ」を出す演出のことです。つまり「ライティング=明るくする」だけでは足りません。

ドラマや映画の撮影でも、そのシーンの雰囲気によって光を当てる角度が変わったり、使う光の種類(ふわっと全体を照らす光や1点のみを強く照らす光など)を変化させたりします。3DCGでも同様に、シーンに合わせて適切な陰影表現を施すことが重要です。

また、3DCG制作にはオブジェクト(制作物)の材質を表現する「マテリアル」や、表面の凹凸を表現する「テクスチャ」という工程もあります。それぞれの材質による光の反射の仕方や影のでき方も知っていると、よりリアルな陰影表現が可能になります。

ライティングで何ができる?

ライティングはリアルさを表現するものですが、光の当て方を調整することでどんなことができるのかを3つご紹介します。

舞台の設定

まずは、舞台の設定です。舞台とはそのシーンの季節や時間、場所などのことを指します。例えば人に影を付ける時に、その影が1つで幅が一定であるものは屋外を想像させやすく、反対に影が複数あったり広がっていたりすると屋内を想像させやすくなります。

また、影の長さが長い時は光源が低い位置にあって、反対に影の長さが短い時は光源が高い位置にあることがわかります。光源が太陽であれば、位置が低いと朝方や夕方、光源が高いと昼と判断できます。

さらに、壁で区切られた2つの空間があるとして、片方の照明は白や青味系の色、もう片方の照明はオレンジ系の色というように、色の温度感をわざと変えることでユーザーに進行方向や奥行きを認識させることもできます。

イメージのコントロール

次にイメージのコントロールです。見る側が受け取る印象を光によって意図的に操作するということです。例えば、人物の表情などが当てはまるでしょう。

「うれしい、楽しい」というプラスの感情の時は影を少なくしたり画面を明るい色味で構成し、「悲しい、焦り」というマイナスの感情の時は影を多くしたり画面を暗い色味で構成します。

ゲームだとホラー系のタイトルは全体的に暗めのライティングがされていますが、これはユーザーに「怖い」「不安」というマイナスの印象を持たせるためといえるでしょう。また『CoD:WWⅡ』では、ダークで静的な印象を与えるためにわざと曇りや雨、夜といった天気・時間が選ばれています。
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視線誘導

最後に視線誘導です。これは見せたいものを強調させるということです。舞台演劇などでセリフを言っている人にスポットライトを当てて注目させるようなイメージです。

ゲームだとチュートリアル画面で武器や操作の説明をする際にキャラクターが表示されますが、その時に背景が少し暗めになるようなものが当てはまるでしょう。そうすることでユーザーは一時的に背景ではなく、説明しているキャラクターに視線が集中するようになります。

ライティングはどんな仕事で使われている?

ライティングは主にグラフィックデザイナーが担当します。グラフィックデザイナーの中でも「キャラクターモデラー」「背景モデラー」「モーションデザイナー」「エフェクトデザイナー」のように細分化されており、多くの場合それぞれを得意とするデザイナーが担当し分業化されています。

特に背景モデラーは、舞台の設定・イメージコントロール・視線誘導にとても重要な役割を担っています。キャラクターモデラーの場合はライティングによってキャラクターの感情を表現しています。

ライティングを扱う仕事をするのに必要なスキルは?

グラフィックデザイナーを始めとして、ライティングを扱う仕事をするのに必要なスキルは主に2つあります。

デッサン力

よりリアリティのあるものを作るためにデッサン力は必須といえます。単純にものの構造を理解しているだけではなく、光の当たり方・影のでき方や素材ごとの反射の仕方への理解も欠かせません。また、舞台の設定やイメージのコントロールのために色彩設計の知識もあると良いでしょう。

CG制作ツールの操作

作業は、基本的にはBlenderやMayaといったCG制作ソフトで行われるので、こうしたソフトへの理解も必要になります。CGに関する技術は常にアップデートされていくので、日ごろからアンテナを高く張って情報収集し、新しい技術を取り入れていく姿勢も大切です。

最近は競技シーンとしても人気の高いFPSゲームなど、3Dゲームが主流となりつつあるので立体を美しく表現するスキルやセンスが求められます。さらにVRの普及に伴って3D技術の需要はますます高くなると予想されます。

まとめ

本記事ではゲームにおけるライティングについてご紹介しました。よりユーザーに没入感を与えるために、ライティングは必須の工程です。それゆえ求められる技術レベルはやや高くなりがちですが、自分の技術がそのままゲームに反映されユーザーからの評価につながるとてもやりがいのある仕事です。

立体や空間表現の知識・経験を積むことでアートディレクターにキャリアアップすることも可能です。ライティングを極めてスペシャリストになるもよし、アートディレクターとしてライティングを含めたゲーム全体のアートの統括をするもよし。

ぜひライティングを駆使して多くの人を夢中にさせるゲームを作ってみてはいかがでしょうか!

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