今ではすっかり定番となった都市運営シミュレーション=シムシティライクゲーム。
自由に街を設計し、住民や経済、インフラを思いどおりに動かす――そんな遊び方は、今もなお多くのプレイヤーを惹きつけています。
本記事では、このジャンルの成り立ちや進化、そしてその魅力について、やさしくひも解いていきます。
シムシティライクゲームとは?
シムシティライクゲームは「経営シミュレーションゲーム」や「都市開発シミュレーションゲーム」に分類され、単に「シムシティみたいなゲーム」とも呼ばれます。
プレイヤーは市長や都市計画者として、都市の建設と維持管理を行い、市民の生活や経済活動の発展を目指します。
特徴
シムシティライクゲームは、プレイヤーが仮想の都市を一から建設・運営していくゲームジャンルで、住宅地や商業施設、道路、電力供給といった都市の構成要素を自由に配置し、成長と発展を目指します。
最大の特徴は、「管理」と「創造」が同居している点にあります。
そしてプレイヤーは単なる建築者ではなく、市長や都市計画家として、住民の満足度や予算、災害リスクなど、さまざまな要素を考慮しながら、都市を継続的に維持・拡大していくのです。
加えて、ゲームオーバーの概念があまり強くないのも特徴で、結果の良し悪しよりも、街の変化や成長過程を眺めて楽しむ、過程を重視した遊び方が魅力となっています。
歴史
始まりはジャンル名にもなっている『SimCity』で、1989年に発売されました。
敵もゴールも存在しないという画期的なゲームデザインは、それまでのゲームの常識を覆し、「シムシティ」という名称は都市開発シミュレーションの代名詞となりました。
しかし、2000年代後半の大幅な方向転換によってシリーズの根幹である都市開発シミュレーションから逸脱したことで従来のファン層が離れ、シムシティシリーズは衰退してしまいます。そして、ジャンル自体も新作が減少し、停滞期に入ります。
やがて、2010年代のスマートフォンアプリ市場の急速な拡大によって、「基本無料」タイプのカジュアルな街づくりや都市開発のゲームが急増しました。
無料化によるユーザー層の拡大は、ニーズの多様化からさまざまなテーマやシステムを持つ都市開発ゲームの登場につながり、現在のアプリ市場の活況に至ります。
また、2015年に登場した『Cities: Skylines』が世界的な大ヒットを記録し、長らく停滞していた都市開発シミュレーションジャンルの復活を大きく後押ししました。
さらに近年では、都市そのものを再考するような作品や、自然環境の回復をテーマにした作品も登場しています。こうした動きによって、シムシティライクゲームは再び活気を取り戻しました。
現在では、スマホアプリや家庭用ゲーム機、PCなど、多様なプラットフォームで様々な都市開発ゲームが展開されており、ライトな街づくりから本格的な都市シミュレーションまで、ジャンルはより一層の進化を続けています。
類似ジャンルとの比較
ここまでシムシティライクゲームの魅力や歴史をざっくりと見てきました。
続いて、よく似たジャンルとの共通点や違いに注目して、そのユニークさをもう少し深掘りしてみましょう。
ストラテジーゲーム
シムシティライクゲームとストラテジーゲームは、どちらも計画性やリソースの配分が重要なジャンルです。共に「戦略的な思考」を求められますが、目的の設定が異なります。
ストラテジーゲームは、敵を倒す・領土を広げるといった「勝利条件」が設定されており、対戦的な要素が含まれています。
一方、シムシティライクゲームは基本的に争いがなく、都市の維持と発展そのものが目的です。
箱庭ゲーム
「箱庭ゲーム」とは、プレイヤーが自由に世界を構築できるジャンルのことで、『マインクラフト』や『どうぶつの森』のような作品が知られています。そしてシムシティライクゲームは「箱庭ゲーム」の一種でもあるのです。
箱庭ゲームは基本的に、建築、配置、装飾といった「つくる楽しさ」や「創造性の発揮」が魅力ですが、シムシティライクゲームの場合は、更に加えて税率調整や交通の流れ、公共サービスの提供といった「管理・運営」の視点が強く求められる点が、大きな違いと言えます。
シムシティライクなゲームたちの名作・有名タイトル
一口にシムシティライクといっても、その内容や雰囲気は作品ごとにさまざまです。
ここからは、ジャンルを代表する名作や注目作をいくつかピックアップしてご紹介します。
『Cities:Skylines』
2015年にPC向けにリリース、のちにPlayStationやXboxなどの家庭用ゲーム機にも展開され、多くのユーザーに親しまれるタイトルになりました。リアルで緻密な都市運営システムに加え、広大なマップ上で自由に街を設計できる点が大きな魅力です。
さらに本作の大きな特徴として、MOD(ユーザー制作の拡張コンテンツ)への公式対応があります。これにより、ユーザーコミュニティは大きく発展し、ゲーム自体の可能性も大きく広がりました。
『SimCity』シリーズの失速により一時停滞していたジャンルに再び注目を集めた本作は、まさに現代を代表するシムシティライクゲームと言えるでしょう。
『トロピコ(Tropico)』
2001年にシリーズ第1作が登場して以来、カリブの島国を舞台にした国家運営型の都市開発ゲームとして人気を集めているシリーズです。
プレイヤーは「大統領」として、島を発展させながら市民の不満・選挙・外交・内政・反乱など、政治的課題にも向き合う必要があります。
また、都市設計に特化した『シムシティ』とは異なり、政治や社会統治を通じて国家全体をマネジメントする視点が特徴です。一方で、シムシティにあるような詳細な交通網の整備や高度なインフラ管理などは、やや簡略化されています。
『SimCity BuildIt』
2014年に全世界でリリースされたモバイル端末向けのシムシティシリーズ作品で、基本無料(※アプリ内アイテム課金あり)でプレイできます。
スマートフォンでの快適な操作性を重視したシステムは大幅に簡略化され、タッチ操作で直観的に街づくりを楽しめるようになりました。
また、他プレイヤーとのアイテム交換が可能なマーケット機能や、クラブ対戦、ランキングなどのソーシャル要素も充実しており、リリースから10年以上が経過した現在も、スマホ向けシムシティライク作品の代表作として高い評価を受けています。
『Terra Nil』
こちらは厳密にはストラテジーゲームなのですが、近年の街づくり・都市開発系のゲームに新たな可能性を示した一作としてご紹介します。
『Terra Nil』は2023年にリリースされた、環境再生をテーマとする異色の都市開発ゲームで、都市を「建てる」のではなく、汚染された荒野を緑豊かな自然へと「再生する」ことが目的で、従来の都市づくりゲームとは発想の出発点が異なります。
建設や資源管理などの要素はありつつも、最終的には自分が設置した建造物を自然に還し、何も残さず去るという「逆都市開発」の思想がユニークです。
シムシティライクゲームに仕事としてかかわるには?
ここまで見てきたように、都市をデザインし動かしてゆくシムシティライクゲームは、奥深く、多くの工夫が詰まったジャンルです。
では、そんなゲームを実際に“つくる側”になるには、どんな職種があるのでしょうか。
ここでは、このジャンルのゲーム開発に必要なスキルや役割を、職種ごとに紹介していきます。
ゲームプランナー
シムシティライクゲームのプランナーは、「どんな街を、どうやって発展させていくか」を設計する、いわば都市シミュレーションの“設計士”です。
ゲームの目的やルールを考えるだけでなく、資源や住民に関するシステム設計、UIの構成、さらにはイベントやストーリーの企画にまで関わります。
このジャンルでプランナーを目指す場合は、「こういう都市ゲームが面白い」「こんな遊び方が好き」といった、自分なりの視点や分析を言語化できることが重要になります。
日頃からさまざまなシミュレーションゲームに触れ、面白さの構造に注目する姿勢が、実践的な力につながっていくでしょう。
▼ゲームプランナーについてはこちらで詳しく紹介しています!

ゲームプログラマー
シムシティライクのような複雑なジャンルでは、マップ生成、資源管理、住民AI、UI処理など、プログラマーが担う役割が幅広く、多岐にわたります。
特にこのジャンルはシステム同士が密接に影響し合うため、安定した処理設計やパフォーマンス最適化の技術が求められます。
このジャンルでプログラマーを目指す場合は、そうした技術力に加え、仕様変更への対応や他職種との連携がスムーズにできる柔軟なコミュニケーション力も欠かせません。
開発チーム全体の意図を理解し、裏側の仕組みを丁寧に組み立てていく姿勢が、信頼される開発者への道を拓いてくれるでしょう。
▼ゲームプログラマーについてはこちらで詳しく紹介しています!

UI/UXデザイナー
シムシティライクゲームでは、プレイヤーが管理すべき情報が多く、画面構成や操作系が複雑になりがちです。そこでUI/UXデザイナーは、情報を視覚的に整理し、プレイヤーが使いやすく、直感的に操作できるようにデザインする必要があります。
「使いやすさ」とは、単なる見た目の良さではなく、ストレスなく情報にアクセスできることや、自然に操作できることも含まれます。
このジャンルでUI/UXデザイナーを目指す場合は、UI/UXの基本知識に加え、「どこで迷いやすいか」「どの情報が優先されるべきか」といったユーザー視点で考える力が不可欠です。
複雑な情報を、どうすれば見やすく、気持ちよく伝えられるかを常に意識することが、実践的なスキルへとつながっていくことでしょう。
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制作ツール
シムシティのような都市開発ゲームの制作は、ゲームジャンルの中でも難易度が高めです。用途やスキルに応じて、最初は「GDevelop」や「Construct 3」で小さなプロトタイプを作ってみるのがオススメです。
初心者向けシムシティライクゲーム制作ツール
GDevelop
完全無料&オープンソースのゲームエンジンで、2Dにも3Dにも対応しており、ノーコードでゲームを開発できます。
ビジュアルプログラミングを採用していることや、ガイド付きレッスンや豊富なサンプルがあるため学習ハードルが非常に低く、これからゲーム制作を始めたい方にもおすすめです。
Construct3
ブラウザ上で動作するノーコード対応の2Dゲーム開発ツールです。ビジュアルプログラミングによるドラッグ&ドロップ操作で、初心者でも直感的に都市シミュレーションの基礎を形にできます。
豊富なテンプレートやサンプルが用意されており、街づくりの構造やイベント処理の流れをすぐに学べるのも魅力で、無料プランもあるため、まずは気軽に試してみたい人にぴったりのツールです。
中・上級者向けシムシティライクゲーム制作ツール
Unity
Unityは、幅広い分野で、世界中の開発者に利用されている、定番のゲームエンジンです。
2D、3Dの両方に対応していて、アセットストアには豊富な都市シミュレーション用素材もあり、自由度が非常に高いので、本格的なゲーム開発が可能です。
このため、モバイルゲーム、PC向け、家庭用ゲーム機向けなど、様々なジャンルのゲーム開発に採用されており、多くの開発者がコミュニティで活発に情報交換やサポートを行っています。
まとめ
都市づくりとその運営を一手に引き受けるシムシティライクゲームは、想像力と計画性を同時に試されるユニークなジャンルです。淡々と街を発展させていく工程には、ほかのゲームにはない“静かな没入感”があります。
ライトな街づくりから本格的な都市シミュレーションまで、幅広い作品が存在している中で、自分に合った遊び方を見つけるのもまた、このジャンルの楽しみのひとつです。
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