ゲームの中にはバトル中のカットシーンやキャラクターの変身シーンなど、さまざまなアニメーションが盛り込まれています。
これらのアニメーションは、プランナーやシナリオライターが書いた脚本を基にして2D/3Dデザイナーが映像を制作しますが、この脚本からアニメーションを制作する流れで重要な過程があります。それが「コンテ」の作成です。
本記事では、ゲーム制作におけるコンテの役割や、コンテ制作・脚本に携わる職種についてご紹介します!
コンテの種類とは
そもそもコンテとは、シナリオを基にして画面ごとに実際の撮影に即したセリフや動作、撮影法などの細かい指示を書き込んだもののことを言い、その役割に応じて3種類に分けられます。
①絵コンテ
絵コンテとは、脚本や字コンテを基に簡単なイラストを付けてストーリーや展開を視覚化したものです。作品やシーンの完成予想図のような役割で「ストーリーボード」と呼ばれることもあります。
要素としては
・シーンの説明と大まかなレイアウト
・セリフ
・キャラクターなどのアクションや効果音(「キラキラ」「シャキーン」など)
・カメラワークや照明の当て方、カットの長さ
・シーン全体やキャラクターの雰囲気、色味などの指示
などが含まれます。
パラパラマンガに、シーンの雰囲気やカットの長さなどの注意書きが加わったものをイメージしてもらうと分かりやすいでしょう!
②字コンテ
字コンテは、脚本に
・各シーンの内容や展開、セリフのニュアンス
・盛り込みたい情報や注意点
などを書き込んだもので、文字だけで構成されます。
字コンテは、絵コンテと違い絵を描く必要が無いため、コンテ制作の経験が無くても誰でも簡単に短時間で制作できるのがメリットです。
例えば、キャラクターボイスの収録の時に、ディレクターが「このセリフはこのような雰囲気で言ってほしい」という要望を出したとき、それを直接台本に書き込むようなイメージです。
字コンテは手軽に制作できますが「文字のみ」という性質上、1つのものを作るのに複数の工程を経る場合などは解釈のズレが起こりやすく、あまり向いていません。そのため、少人数での作業や今後の作業工程におけるメモ書き程度にとどめておくのが良いでしょう。
中には、字コンテからイメージを制作することもあり、その場合はディレクターやプランナーと密に連携をとり、認識に相違が起きないように気を付けながら進める必要があります。
③ビデオコンテ
ビデオコンテは絵コンテを動画の形にすることで尺の長さや動作のタイミングなどをより分かりやすくしたものです。2Dの絵にカメラワークを付けたような簡易的なものであっても、具体的なイメージを持つことができ完成形をイメージしやすくなります。
また、その映像で何を表現したいのかをデザイナーや他の部門の人が直感的に理解でき、さらなるイメージを膨らませるための手助けの役割もあります。
参考:https://magazine.cygames.co.jp/archives/21652
脚本とコンテの違い
絵コンテと類似するものとして「脚本」というものがあります。
脚本は「いつ・誰が・どこで・何をするのか」といったことや、セリフ、登場人物の動きを書いたもののことを言い、今まで説明したコンテと同じような意味で使われることが多いです。
しかし、絵コンテがイラストを用いてストーリーの流れや動きを表すのに対し、文章のみで構成されている点で異なり、脚本は絵コンテや字コンテの基となります。
コンテを作るポイント
コンテを作る際には気を付けるポイントがあります。
それは「キャラクターや演出をどのようにユーザーに見せるか」ということです。
例えば、同じキャラクター、表情、動きでも、カメラワークやエフェクトによってプレイヤーが受け取る印象は大きく変わるでしょう。そのため、事前にプランナーやコンセプトアーティストと、演出意図やプレイヤーにどう見せたいかのすり合わせを行うことが重要となります。
つまり、「デザイナーにきちんと演出意図が伝わるか」がコンテ作成のポイントです。
絵/ビデオコンテを作るメリット
字コンテは、コンテの中では「メモ」の要素が強く作成にあまり時間を取られませんが、絵コンテやビデオコンテはイラストを書いたり動画を作ったりしなければならないので、ワンクッション作業工程が増えてしまいます。
では、なぜ作業工程を増やしてまで絵コンテやビデオコンテを作成するのでしょうか。メリットを2つご紹介します。
①時間、お金、リソースの節約
絵コンテやビデオコンテは、制作したい映像の雰囲気やストーリーを視覚的に把握できるよう、イメージに落とし込む作業です。そして、その作業工程でストーリーに矛盾があったり破綻が起きていないか、必要なのに抜けている部分はないかなどを確認できます。
このように制作に取り掛かる前の計画の段階で全体像を把握することで、「たくさん素材を用意したけど半分使わなかった…」といった無駄な作業を減らせるなど、必要最低限の作業コストで制作を進めることができます。
②意思疎通しやすい
絵コンテがあることでキャラクターの表情や光の当たり方、色味などが分かり、ビデオコンテがあることで尺の長さや画面の切り替わるタイミングなどが分かるようになります。
しかし、これが文字だけだとどうでしょうか。例えば「真上から光が当たっている」という場合、その光はどのくらいの強さなのか、スポットライトなのか自然光なのか、色は白かオレンジか…など細かいニュアンスを伝えることはできません。
しかし、イラストや動き(カメラワーク)がつくことでこのような文字だけでは伝わりきらない細かい表情や状況を直感的に理解でき、解釈の違いを減らすことができます。
解釈の違いを減らすことで修正回数を減らし、結果的に作業時間の短縮につながるのです。
ゲーム開発ではコンテは誰が作るのか
ゲーム業界ではデザイナーが中心となって、コンテを作成します。
例えば、
・2D/3Dデザイナー
・アニメーター
・エフェクトデザイナー
・UIデザイナー
・作画デザイナー
・スクリプター
などが挙げられます。
転職活動の際、コンテの作成経験は必須とは限りませんが、デザイナー系の職種だと歓迎されることも多くあります。3DCGデザイナーなどを目指している方は合わせてカメラワークについても勉強しておくとコンテ制作だけでなく3DCGデザインにも役立つでしょう。
また、WEBTOON制作のなかで「ネーム担当(ネーム作家)」という職種があり、絵コンテの制作経験が必須だったり歓迎されたりするので、気になる方はぜひこちらの記事もチェックしてみてください!
まとめ
本記事ではコンテの種類や脚本との違い、コンテを作るメリット、コンテや脚本制作に携われる職種についてご紹介しました。コンテはゲーム業界だけでなく映画やアニメ、マンガ(WEBTOON)など、ゲームと近しい業界でもよく使用されるものです。
絵コンテを作ることは、時間やコストの削減、他の開発者との意思疎通がしやすくなるなど、さまざまなメリットがあります。絵コンテを使う仕事に転職したい方は、ぜひ業務に取り入れたり、ご自身で絵コンテを制作をしてみてはいかがでしょうか。
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