WEBTOONでは作業の分業化が図られていますが、その中でも写植という作業があることをご存じでしょうか。写植はWEBTOONの制作とローカライズ時に非常に重要な作業になります。
今回はWEBTOONの写植について詳しく解説していきたいと思います。
WEBTOON(ウェブトゥーン)とは
WEBTOONは韓国発のデジタルコミック、ウェブコミックのことを指します。
縦にスクロールしながら読める点が特徴であり、ほとんどのWEBTOON漫画はフルカラーで表現されています。スマートフォンで読むのに適した形になっている点も特徴であり、コロナ渦における巣ごもり需要の影響で「家から出ずにマンガを読める」「スマホに対応した縦読みがおもしろい」と国際的に人気が出ました。
ここ最近は日本でも大きな注目を集めており、多くの国内企業がWEBTOON業界に参入しています。
「WEBTOON」という名前は、NAVER社の登録商標ですが、本記事内では縦スクロール型漫画を指す言葉として、世界中で広く浸透しているWEBTOONという言葉で説明します。
基本用語「写植」とは
写植とは写真植字の略で、写真の原理を用いて文字を紙などに印字することや、印字したもの自体を指します。
漫画制作では、ネームの段階では吹き出しのセリフやナレーションなどが手書きのため、単行本やWEBTOON作品として完成させる際にそれらの文字を編集者がデジタルに変換して貼りつける必要があります。そして、漫画における写植とはこの作業のことを指します。
WEBTOONの写植とは
WEBTOON制作では、原画の仕上げが終わった後に写植担当者が文字を入れていきます。
WEBTOONの場合はデジタル上で行うので、セリフ打ちという作業が写植と呼ばれます。ツール上で、吹き出しやコマのレイヤーとは別に、セリフのレイヤーを用意して文字を入れていきます。これにより、後に修正作業が発生した場合、吹き出しやコマの大きさを変えずに文字だけ修正できるので作業の効率化を図ることができます。
また、WEBTOONの写植では、登場人物の動きや心情を読み取り、適切なフォントの選択が必要です。出版会社などによって決められたフォントはありますが、シーンやキャラクターによって適切なフォントを使い分ける必要があります。
例えば、登場人物が絶叫しているシーンと仮定し、上記の三つのフォントがあるとします。
①はただ大きな声を上げているように感じますが、②になるとさらに大きな声で叫んでいるように感じます。一方③では少し弱弱しく、小さな女の子が叫んでいるように感じませんか?
このようにフォントを変えることで、読者にもより雰囲気が伝わりやすいWEBTOON制作が可能になります。
ローカライズの写植とは
WEBTOONは海外展開されることが多いのでローカライズ作業が必要で、その中でも写植作業が非常に重要になります。また、ローカライズにおいては、文字入れだけでなく作画そのものを修正することを写植と呼ぶこともあります。
ローカライズの際は翻訳した字数によって吹き出しやコマの大きさを変えたり、文章の読み方の違いによって配置を変更したりする必要があります。
こうした作業全般を写植担当が行うのですが、WEBTOONでは、予め制作した吹き出しの大きさや形などをツール上で変更するのみなので、漫画のように再び吹き出しやコマを書き直す必要がありません。
写植を仕事にするには
写植は写植専門の写植担当や制作アシスタント、編集者が担当し、海外展開している作品の場合はローカライズも行います。
業務内容は、
・原稿の文字を適切なフォントに変換し貼り付ける
・中国語や韓国語、英語に翻訳し、コマや吹き出しの大きさを調整する
・展開先の国の文化やマナーに合わせて内容を調整する
などがあります。
また、制作スタジオや企業によりますが、正社員だけでなくアルバイト・パート・業務委託などさまざまな雇用形態があり、フルリモートや稼働時間を好きに決められるなど、比較的自由度の高い求人も多くあります。
そのため、深く写植に携わりたい方や、語学力を活かして副業したい方など、ご自身の状況やキャリアプランに合わせてお仕事をすることができます。
写植に求められるスキルとは
写植の業務等についてご紹介してきましたが、次に写植をするにあたって求められるスキルを3つご紹介します。
①ツールの基本操作
通常、WEBTOON制作はCLIP STUDIO PAINTなどのツールを使用しています。
そのため、写植をするためにもCLIP STUDIO PAINTやPhotoshopといったツールが扱えることが求められます。
基本的に写植の作業工程などはテンプレート化されていたり、ルールなどが定まっており、それに則って作業を進めることが多いため、ツールの基本操作ができればよいでしょう。
②語学力
作品を海外展開する際に必要なローカライズ作業を行うためには語学力が必須です。
WEBTOON作品は世界中で親しまれていますが、特に韓国や中国といったアジア圏での人気が高いため、英語・韓国語・中国語のスキルが求められます。
ローカライズの場合は、語学力に加えてその国の文化や歴史、マナーなどについての知識が求められます。
そのため、日本ではOKでも展開先の国ではマナー的にNGなことなどがあった場合、作品の内容調整をする必要があり、その監修を任されることもあります。
③安定したスピード感
最後3つ目が安定したスピード感で作業を行えることです。
WEBTOON作品は1週間に1話、もしくは2話というようにかなり速いペースで更新されるため、その更新に追いつけるスピード感が重視されます。
まとめ
写植は、現在では元々の意味とは異なるものに変化していますが、WEBTOON制作では最終段階に入るので非常に重要な作業工程です。また、WEBTOONの特徴であるローカライズには必要不可欠な工程です。
写植を行うことで読者に違和感なく作品を読んでもらえます。写植に少しでも興味を持った方はWEBTOONクリエイターを目指してみてください!
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