
今回ご紹介する「料理シミュレーションゲーム」は、料理を作ることの楽しさや、レストランを経営する面白さを、ゲームという形で手軽に味わえるジャンルです。
現実ではなかなか味わえないスピード感や、失敗してもやり直せる気楽さが、プレイヤーに新しいクッキング体験をもたらし、人気を博しています。
本記事では、そんな料理シミュレーションゲームの成り立ちから、現在の人気タイトル、そしてプラットフォーム別の傾向などを解説していきます。
料理シミュレーションゲームとは?
料理シミュレーションゲームは、食材の準備から調理、盛り付けや接客まで、料理に関わるあらゆる工程を疑似体験として楽しめるジャンルです。リアルな料理再現やユニークな世界観などで、子どもから大人まで幅広い層に人気があります。
では、こうした料理シミュレーションゲームには、どんな魅力や特徴があるのでしょうか?
詳しく見ていきましょう。
料理シミュレーションの魅力とは
料理シミュレーションゲームの魅力は、ただ料理を再現するだけでなく、プレイヤー自身の工夫やセンスを活かせる自由度にあります。
素材の組み合わせからオリジナルレシピを生み出したり、食材の仕入れや店舗の運営といった経営要素に挑戦したりと、ゲームごとに多彩な楽しみ方が用意されています。
さらに、アクション性の高いスピーディな調理を競うゲームもあれば、のんびりと自分のペースで遊べる癒し系タイトルもあり、プレイスタイルに合わせて選べるのも大きな魅力です。
料理の面白さを仮想空間で味わえる、奥深くて飽きのこないジャンルだと言えるでしょう。
ジャンルの分類と多様性
上述のように、一口に料理シミュレーションゲームと言っても、その内容やプレイスタイルは作品ごとに大きく異なりますが、いくつかの系統が存在していますので、ここでそれぞれの特徴について、軽くみていきましょう。
調理シミュレーション
リアルな調理工程を再現するタイプです。
包丁の動かし方や火加減の調整、料理の盛り付けにいたるまで、細かい作業を一つひとつこなしていくゲームで、まるで本当にキッチンに立っているかのような感覚を味わうことができます。
総じて操作の自由度が高く、現実の料理に近い工程をバーチャル空間で臨場感たっぷりに体験できるのが魅力です。
レストラン経営シミュレーション
レストランの運営を行うタイプのゲームで、スタッフの管理やメニューの選定、食材の仕入れや店舗のアップグレードなどを行います。
このため、プレイヤーは多角的な視点で「食」を扱うことになり、調理とはまた違った面白さを味わうことができます。
アクション系クッキングゲーム
スピード感を重視したアクション系の作品も根強い人気があります。
注文された料理を素早く作り、次々と来店する客に提供するといったテンポのよさが特徴で、反射神経や段取りのうまさが試されます。
また、このテンポのよさゆえに、短時間で達成感を味わえるのも嬉しいポイントです。
RPG×料理シミュレーション
冒険要素と料理要素を組み合わせたタイプです。
素材を集めたり、キャラクターと交流したりと、物語を進めながら料理を楽しむスタイルは、ゲームとしての深みや世界観の広がりを感じさせます。
このように、料理シミュレーションゲームは「疑似的な調理体験」にとどまらず、多彩なゲーム要素と融合しながら発展を遂げてきました。
それぞれが異なるアプローチで「料理を楽しむ」という体験を提供しており、プレイヤーの興味や好みに応じて、色々な形で“料理”を楽しめる多彩さが、このジャンルの奥深さと魅力を支えているのです。
料理ゲームの歴史と発展
それでは次に、このユニークなジャンルがどのように発展してきたのかを見ていきましょう。
料理シミュレーションの歴史
料理シミュレーションゲームは、時代の技術進化と共に少しずつ形を変えながら、多くのプレイヤーに親しまれてきました。
その草創期は1990年代、主にPC向けに登場したレストラン経営シミュレーションが始まりとされています。
当時はグラフィックや操作性に制限があったものの、料理や経営をテーマとしたゲームには一定の人気があり、プレイヤーの想像力をかき立てる魅力がありました。
2000年代に入ると、クッキング要素を前面に打ち出したアーケードライクな作品や、ブラウザで手軽に遊べるFlashゲームが登場し、より多くのユーザーが料理ゲームに触れるようになります。
この時期には『クッキングママ』シリーズのように、家庭用ゲーム機で成功を収めたタイトルも生まれ、料理ゲームは子どもから大人まで幅広い層に広がっていきました。
そして近年、料理シミュレーションゲームはさらなる多様化と進化を遂げています。
スマートフォン(スマホ)の普及により、無料で気軽に楽しめるカジュアルな料理ゲームが急増しました。
中でも『クッキングフィーバー』のように、テンポよく遊べて達成感のある作品は、日常のスキマ時間を彩る定番アプリとなりました。
さらに、AR(拡張現実)やVR(仮想現実)といった最新技術を取り入れたタイトルも登場しており、仮想キッチンの中で実際に手を動かして調理しているかような没入体験が可能になっています。
プラットフォームごとの傾向
料理シミュレーションゲームは、どのプラットフォームで遊ぶかによって体験のスタイルが少しずつ異なります。
ここで、そのおおまかな特徴をみていきましょう。
PC(Steam・Windows)
PC向けでは、細かなマウス操作や高精細なグラフィックを活かし、リアルな調理動作を再現した本格派のタイトルが多く見られ、本物のキッチンに立って調理しているような感覚が味わえる点が魅力です。
加えて、VR(仮想現実)に対応したゲームでは、実際に自分の手で食材や調理器具を扱っているかのような、没入型の体験も可能となっています。
スマホ(iOS / Android)
スマホでは、無料で気軽に遊べるカジュアルな料理ゲームが主流で、タッチ操作によるテンポの良いクッキングが人気です。
近年では、AR(拡張現実)技術を活用し、目の前のテーブルの上にゲーム内で作った料理を表示するような、現実世界とリンクした遊びを取り入れた作品も登場しています。
家庭用ゲーム機(Nintendo Switch / PlayStation 4・5)
家庭用ゲーム機では、家族や友人と一緒に楽しめる協力型や、対戦型のタイトルが人気を集めています。
とくにSwitchではモーション操作を活かした作品も登場しており、身体を動かして料理を作る感覚を味わえるのが特徴です。
加えて、グラフィックやストーリー要素も充実したものが多く、じっくり長く遊びたいユーザーにも好まれています。
このように、同じ料理シミュレーションというジャンルの中でも、それぞれのプラットフォームごとに異なる魅力や強みがあり、プレイヤーの好みやライフスタイルに応じた多彩な選択肢があります。
どの環境でも、「料理を作る」楽しさを軸に、多様な遊び方が広がっているのが、料理シミュレーションゲームならではの魅力です。
料理シミュレーションの人気・有名タイトル
それではここで、「料理」というテーマをさまざまな切り口で楽しむことができる、代表的な作品をいくつかご紹介しましょう。
『Cooking Simulator』
物理演算を用いたリアルな食材やキッチン器具の扱いが特徴の、PC向け本格調理シミュレーションです。
まるで本物のキッチンに立っているかのような、現実さながらの料理体験を楽しむことができ、プレイヤーは数十種類以上の食材や素材を使って、80以上のレシピを再現できます。
また、ゲームにはキャリアモード、サンドボックス、クッキングスクール、ピザ作りやペストリー作りなど、多彩なモードがあり、自由に創作料理を楽しんだり、レストラン経営に挑戦したりと、遊び方の幅も豊富です。
『クッキングフィーバー』
スマホで人気のレストラン経営シミュレーションで、テンポの速い調理と経営判断が求められる、タイムマネジメント型のアクションゲームです。注文に合わせて素早く料理を作り、ステージをクリアすると新しいレストランや料理が解放されます。
また、集めたコインで設備やインテリアをアップグレードでき、短時間でも満足感のあるプレイ体験も楽しめます。
無料ながらコンテンツ量も充実しており、何度も繰り返しプレイしたくなるような一作です。
『フードファンタジー』
料理を擬人化したキャラクター「食霊」と共に冒険する、RPGと料理シミュレーションのハイブリッドゲームです。
バトルやストーリーを進めながらレストラン経営を行い、食材を集めて新しい料理を開発したり、店舗をカスタマイズしたりと、幅広い要素が楽しめます。
また、美麗なキャラデザインと人気声優によるボイスも魅力です。
『オーバークック』
最大4人で協力してキッチンを切り盛りする、アクション性の高いシリーズです。
時間内に注文された料理を手際よく仕上げるためには、仲間との連携が鍵となるゲームで、『オーバークック2』では、新たなレシピやステージ、投げ渡しアクションなどが追加され、より戦略性が増しました。
さらに『王国のフルコース』は、1作目と2作目に加えて、数々の追加コンテンツ(DLC)をすべて収録した完全版です。
豊富なステージと多彩なキャラクターで長く遊べる、家族や友人と一緒に遊びたい人におすすめの、パーティー向けクッキングゲームの定番と言えるでしょう。
『ねこのキッチン』
かわいらしい猫たちが料理店を切り盛りする、癒し系の放置型シミュレーションゲームで、シンプルな操作でテンポの良い調理が楽しめます。
プレイヤーは猫の店主となって店舗を拡張し、料理の開発やスタッフの雇用を進めていきます。
また、猫の着せ替えや店内のカスタマイズなど、かわいらしい要素も満載で、気軽にのんびり楽しめるので、コツコツ進めるのが好きな人や癒しを求める人におすすめです。
料理シミュレーションゲームに仕事としてかかわるには?
料理シミュレーションゲームのスタイルやゲーム性はさまざまですが、「料理」が主要素であることは共通しています。
ここでは、料理、調理、経営といった要素に注目しながら、開発にかかわる職種をいくつかご紹介します。
ゲームプランナー
ゲーム全体の企画や構成を考えるポジションです。
料理シミュレーションゲームの場合、調理やレストラン運営といったテーマを、どうゲームとして成立させるかを考え、プレイヤーにどんな体験をしてもらいたいのかを具体的に描いていく力が求められます。
これからプランナーを目指す方にとって大切なのは、「どんなゲームを作りたいか」「どんな楽しさを提供したいか」といった、自分なりの視点や目的を言葉にできることです。
そのためには、日頃からさまざまなジャンルのゲームをプレイし、遊びの仕組みや流れを意識的に分析する習慣を持つことが大きな助けになるでしょう。
▼ゲームプランナーについてはこちらで詳しく紹介しています!


2D/3Dデザイナー
キャラクター、料理、背景、UIなど、ゲーム内のビジュアルにまつわる要素を手がけるポジションです。
料理シミュレーションでは、おいしそうな料理、親しみやすい登場人物、わかりやすい表示など、見た目の印象がゲーム体験を大きく左右します。
このジャンルでデザイナーをめざすなら、2Dや3Dのデザインスキルに加えて、色彩感覚や動きの表現、世界観全体の統一感を意識する力も身につけておきましょう。
▼2D/3Dデザイナーについてはこちらで詳しく紹介しています!


ゲームプログラマー
ゲームに必要なあらゆる動きを実現するためのシステムを構築するポジションです。
調理時の操作やAIの動き、経営システムの挙動、インタフェースの反応まで、多岐にわたる要素を制御します。
料理シミュレーションゲームのプログラマーを目指す場合は、そうした技術力に加え、安定した動作や自然なレスポンスを実現するために、他職種との連携がスムーズにできる柔軟なコミュニケーション力も欠かせません。
▼ゲームプログラマーについてはこちらで詳しく紹介しています!


制作ツール
料理シミュレーションゲームは、「調理の再現性」「スピード感」「経営的な広がり」など、どの要素に力を入れるかで選ぶべきツールも変わってきます。
まずは自分のスキルと、目指す作品像に合ったツールを選び、少しずつ試しながら進めてみてください。
初心者向け制作ツール
RPGツクールシリーズ
手軽に始めたい方におすすめのツールです。
プログラミングが苦手でも、GUI操作でほとんど完結できる上、素材が豊富で日本語情報も多いので、初心者の方でも手を出しやすいでしょう。
GDevelop
GDevelopはノーコードでゲーム制作ができる、初心者に優しい開発ツールです。
インストール不要で始めることができ、タイムマネジメント型や放置系などの、カジュアルな2D料理ゲームを気軽に作りたい人におすすめのツールです。
中・上級者向け制作ツール
Unity
Unityは、幅広い分野で、世界中の開発者に利用されている、定番のゲームエンジンです。
2D・3Dの両方に対応しており、物理演算やUIまわりにも強く、カジュアルからリアル志向の料理ゲームまで、幅広く対応することが可能です。
また、アセットストアも充実しているので、素材の導入や試作がスムーズに行うことができます。
Unreal Engine
高精度なグラフィックやリアルな物理表現を活かした3Dゲーム制作に強みがあります。
特に料理の質感や調理動作を精密に再現したい場合に適しており、映像表現にも優れています。
また、ビジュアルスクリプティング「Blueprint」による一定の開発支援もあり、表現の幅は非常に広いです。
まとめ
料理シミュレーションゲームは、調理のリアルさを再現する作品から、経営や冒険と組み合わせたものまで、多様なプレイスタイルが楽しめるジャンルです。
無料で手軽に遊べるスマホゲームからSteamの本格派まで、たくさんの選択肢の中からきっと、自分に合った「仮想キッチン」を見つけられるはず。
気になるタイトルがあれば、ぜひ一度プレイして、料理シミュレーションの魅力を体験してみてください。
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