業界知識

25.06.17

VTuberの現場で活躍!スタジオスタッフってどんな仕事があるの?

バーチャルなキャラクターがリアルタイムで『喋り・歌い・踊る』そんなVTuberの世界の裏側には、最先端の技術と、それを支えるプロフェッショナルの存在があります。

そして、モーションキャプチャーでキャラクターに命を吹き込み、音響・映像・照明でステージを彩り、音楽で世界観を深めるなど、派手な表舞台を支える「スタジオスタッフ」は、まさにVTuberの舞台裏を動かすキーパーソンです。

本記事では、そんなVTuberのスタジオスタッフについて解説していきます。

VTuberのスタジオスタッフとは

VTuberのスタジオスタッフとは、配信や収録、ライブイベントなどの現場において、モーション・音響・映像といった技術面を担うポジションの総称です。

ここでは主に3つの職業について紹介していきます。

・モーションキャプチャーエンジニア
・音声/映像/照明エンジニア
・サウンドクリエイター

どの職業も作品の完成度を大きく左右する「技術の土台」を築いているスタジオスタッフです。

仕事内容

では、それぞれの職種の具体的な仕事内容についてご紹介していきます。

1.モーションキャプチャーエンジニア

モーションキャプチャーエンジニアは、VTuberの動きを支える専門職です。

彼らの主な仕事は、演者の動きをリアルタイムでキャラクターに反映させるための機材をセッティングすることや、トラッキング管理、さらに収録後のデータ処理など多岐にわたります。

また、全体の安定性を保つための細かな調整、そして不要なノイズとなるデータの除去といった作業も重要な作業です。

他にも、キャラクターの骨格構造と整合性を保つため3Dモデルとの連携調整を求められるなど、まさにキャラクターに命を吹き込む職種といえます。

2.音声・映像・照明エンジニア

視聴者がコンテンツの音と映像を楽しむために、マイク・ミキサーの音質調整やカメラ映像の切り替え、そしてステージ照明演出などを総合的に管理するのが、音声・映像・照明エンジニアの主な業務です。

具体的な作業でいうと、音響ではノイズやハウリングを防ぎつつ、VTuberの声がはっきりと聞こえるようにバランスを整えます。

また、映像では、複数のカメラアングルを切り替えて臨場感を出しつつ、配信画面にグラフィックや字幕をリアルタイムで合成することもあります。

さらに、照明に関しては、キャラクターの見栄えや背景の雰囲気をコントロールし、ライブ感や演出意図に沿ったビジュアル作りを担っています。

こうした細かな調整が不十分だと、映像と音がズレる、画面が真っ暗になる、といった不具合が発生し、VTuberの魅力を視聴者に伝えることができなくなります。

つまり、音響・映像・照明エンジニアは、技術を駆使して舞台の裏側からVTuberの世界観を守ることが役割なのです。

3.サウンドクリエイター

サウンドクリエイターは、配信や動画、ライブ演出に合わせてBGMや効果音、ジングルなどを制作し、VTuberの世界観を「音」で彩る役割を担っています。コンテンツの雰囲気やキャラクターの個性に合わせて音を作り出す、いわば「聴覚の演出家」です。

音響エンジニアが「既にある音を収録や動画でどう届けるか」に特化しているのに対し、サウンドクリエイターは「その音を一から生み出す」仕事となります。

配信内のBGM選定、効果音の作成、ライブ演出用の音素材の制作など、演出全般の一部として音を設計するのが主な業務です。

▼VTuberに関わるその他の仕事はこちらでもまとめて紹介しております!


求められるスキル

続いて、これらの職種に就くためには、どのようなスキルが求められるのでしょうか。

1.モーションキャプチャーエンジニア

3Dモデルの知識

モーションキャプチャーで得た動きのデータを自然に反映させるには、3Dモデルの構造やリギング、アニメーション処理についての知識が欠かせません。

キャラクターの個性やイメージを壊さず、より自然な動きを再現するためにも、技術と知識の両面からのアプローチが求められます。

2.音声・映像・照明エンジニア

分野別の機材知識

音響・映像・照明の各分野には、それぞれ専門的な機材が存在します。

たとえば、音響ではミキサーやワイヤレスマイク、映像ではスイッチャーやキャプチャーボード、照明ではLEDパーライトやムービングライトなど、現場で扱うツールは多岐に渡ります。

それぞれの基本的な構造や操作方法を理解しておくことで、トラブル時の対応力やセッティング精度も格段に高まります。

機材選定、運用のスキル

配信やイベントの規模、内容、演出意図に応じて、最適な機材を選定し、正しく組み合わせて運用する力が必要不可欠です。

演者の動きが多い現場では高感度のマイクを選んで声を拾いやすくしたり、照明が画面の雰囲気を左右するシーンでは、光量や色温度の調整を意識する必要があります。

機材の特性を理解し、演出を支える環境づくりができることは、現場の信頼に直結する重要なスキルです。

3.サウンドクリエイター

DAW(デジタルオーディオワークステーション)ソフトの技術

DAWとは、音の録音・編集・加工・ミックスなどを一括して行える音楽制作ソフトのことを指し、サウンドクリエイターには、音作りの中核となるDAWの操作スキルが欠かせません。

代表的なソフトには、楽曲制作に強い「Logic Pro」、細かい音の設計がしやすい「Cubase」、ビートメイクやサウンドデザインに特化した「Ableton Live」などがあります。
それぞれの強みを理解し、意図に応じて使い分けられることが、制作の幅を広げるポイントになります。

ミックス/マスタリングスキル

ミックスとは、複数音(ボイス、BGM、効果音など)をバランスよく調整する作業で、マスタリングとはその最終段階として、音全体の質感や音量を整え、配信や動画に最適な形に仕上げる工程のことです。

サウンドクリエイターにとって、音源のクオリティを最大限に引き出すミックス・マスタリングのスキルは欠かせません。

BGMやボイス効果音など複数の音が重なるVTuber配信では、それぞれの音量・音質・定位のバランスを整えることで、聴きやすく洗礼された音響空間を作り上げる必要があります。

音が濁らず、それぞれの役割が明確に伝わる音作りは、配信の完成度に大きく関わる要素であるため、ミックスやマスタリングの技術を身に着けておくことで、プロ品質の仕上がりを安定して提供できる、信頼されたクリエイターになれます。

活かせる経験

次に、それぞれの職業を目指すうえで強みとなる経験についてご紹介します。

1.モーションキャプチャーエンジニア

観察力

モーションキャプチャーエンジニアは、演者の動きやキャラクターの挙動にわずかな違和感が出たとき、その原因にすばやく気づくことが求められます。

日ごろから人の動きや表現を注意深く見ている人ほど、細かなズレや不自然さに敏感で、結果として現場でのトラブル防止や精度向上につながります。まさに、直感的な気づきが強みとして発揮され、現場での立ち回りに活きるといえます。

空間把握力

モーションキャプチャーの現場では、複数のカメラの配置やセンサーの位置関係を正確に理解する必要があります。

立体的な空間を直感的につかめる力があると、トラッキングの精度や作業効率にも大きく影響します。
キャリブレーションや撮影時の動線設計でも、この空間感覚が活かされます。

2.音声・映像・照明エンジニア

コミュニケーション能力

音響・映像・照明エンジニアは、配信や収録の現場で、演者、ディレクター、他の技術スタッフと密に連携しながら業務を進めます。

例えば、照明のタイミングや音響バランス、映像の切り替えなど、演出に関わる多くの要素がリアルタイムで動いているため、的確に情報を伝えて意図をくみ取る力が欠かせません。

些細な確認不足が現場の混乱につながるため、技術だけでなく、円滑なチームワークが築けるコミュニケーション力が重要です。

冷静な判断力

配信や収録の現場では、音声トラブルや映像の乱れ、照明の不具合など、予期せぬ問題が発生することも少なくありません。しかも多くは本番中、秒単位での対応が求められる場面です。

そうした状況でも慌てず、状況を瞬時に見極めて判断・対応できる冷静さは、スタジオ全体の進行と配信クオリティの維持に直結します。

3.サウンドクリエイター

アイディアの引き出し

限られた時間やテーマの中で「その世界観にあった音」を形にするためには、常に新しいアイディアを持ち続ける柔軟さが必要です。音楽に限らず、映画、ゲーム、日常の音など、幅広いインプットから発想を引き出す力が活きてきます。

楽器演奏や作曲の経験

音の構造やメロディの展開、リズムのバリエーションを感覚的に理解できることは、楽曲のクオリティに直結します。実際に演奏したり、ゼロから音楽を組み立ててきた経験は、制作時の判断力や応用力の土台といえます。

やりがい、大変さ

VTuberのスタジオスタッフは、視聴者には見えないVTuberの舞台裏を支えるスペシャリストたちです。モーション・音響・映像・照明、そのすべてが嚙み合い、初めてひとつの配信やライブが「感動」として成立します。
それゆえに、画面の向こうの世界観を自身の技術で整え、ファンの心を動かすという手ごたえは、この職種だからこそ味わえる醍醐味といえるでしょう。

しかし、VTuberの世界観を守るというのは容易ではなく、たった一つの音ズレや映像の乱れが、視聴者の没入感を壊すことへつながるため、現場では秒単位の判断と操作を求められます。

また、機材トラブルへの対応、スケジュールの密度、短時間でのセットアップ、そのどれもが高い集中力と現場経験を必要とします。

華やかなステージを裏側から完璧に支えるという使命感、それこそがこの仕事における大きなやりがいであり、同時に大変さでもあるといえます。

キャリアパス、将来性

VTuber業界は年々拡大を続けており、配信のクオリティや演出の要求もますます高度になっています。

リアルタイムモーションキャプチャーの技術革新、音響・映像環境の複雑化、さらにはバーチャルイベントの増加により、スタジオスタッフの需要は着実に高まっています。

なかでも、確かな技術を持ち、現場対応に柔軟なスタッフは貴重な存在とされ、職種を問わず業界全体から重宝される傾向が強まっています。

こうしたスキルは、VTuber業界だけでなく、メタバースコンテンツやバーチャルライブ、XR体験などの分野でも活かすことができ、キャリアの選択肢を大きく広げてくれるでしょう。

さらに、現場での実績を重ねることで、配信演出のディレクターや技術チーフ、チームマネジメントを担うリーダー職など、より高い視点でプロジェクトを動かす立場へのステップアップも期待できます。


▼VTuberに関わるその他の仕事はこちらでもまとめて紹介しております!


まとめ

本記事では、VTuberのスタジオスタッフについて役割や仕事内容、求められるスキル、そして将来性まで幅広くご紹介しました。

高い専門性が求められるからこそ、あなたの技術が強みとなり、必要とされる現場があります。

バーチャルとリアルが交差するVTuberという新しい表現の形を支えることは、物づくりの面白さと舞台裏から感じるライブ感の両方を味わえる、貴重な経験となるでしょう。

VTuberという新しいフィールドで、培ってきたスキルを活かしたい人は、ぜひ本記事を参考に、一歩を踏み出してみてください。

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Confidence Creator 編集部

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