
マンガやアニメ、ゲーム製作などでは当たり前のようにキャラクターに「色塗り」が施されていますが、それぞれの作品によって色の「塗り方」は異なります。本記事では、「アニメ塗り」「ブラシ塗り」「厚塗り」の違いや、それぞれの特徴などを解説します!
アニメ塗りとは
アニメ塗りは、すべての塗り方の基本となる塗り方です。イラストを描き始める方も、恐らく1番最初に習得(挑戦)する塗り方でしょう。
光と影を明確に塗り分けるのが特徴で、影は1色か2色で表現されることが多く、基本的にはベタ塗りで着彩(色を着けること)します。
平面的な描写が得意だったり、シンプルでパキッとした印象のため、アニメはもちろん、マンガやゲームなどでも幅広く使用されています。
アニメ塗りは、ブラシ塗りや厚塗りに比べ作業コストも低いため、更新頻度が高く作業量の多いWEBTOON作品とも相性がよいといえるでしょう。
アニメ塗りの手順
続いて、アニメ塗りの具体的な手順をご紹介します。
パーツごとにレイヤーを分けて下地を塗る
大きなパーツを先に塗った後、着色しきれなかった部分をペンツールを使って塗っていきます。色の数だけレイヤーが増えていくため、混乱しないよう、それぞれのレイヤーに名前を付けましょう。
影を使って立体感を出す
影を塗るときは肌や髪などの下地レイヤーごとにクリッピングマスクをかけた影用のレイヤーを作り、はみ出しを予防します。はっきりとした線をかけるようなペンを使って影を塗っていきます。レイヤーを重ねることで影の濃淡を表現しましょう。
ハイライトを入れる
髪や目にハイライトを追加します。影に濃淡をつけたときと同じように、光源を意識して書き込む位置や形を決めましょう。
線の色を変える
線画にクリッピングマスクをかける「色トレス」を施して、色を変更します。色の濃さを調節し、線画をなじませることでイラストが柔らかい印象になります。
ブラシ塗りとは
ブラシ塗りは、アニメ塗りの影にグラデーションやぼかしを施したような塗り方です。美少女塗りやギャルゲ塗り、CG塗りなどさまざまな呼び方があります。
影などの色がグラデーションになっているため、アニメ塗りよりは高級感がありつつも、厚塗りよりは軽い印象を与えることができます。
アニメ塗りに比べて立体感などが感じられ、ゲームキャラ(特にアイドル系のタイトル)などに向いています。
ブラシ塗りの手順
上記で紹介したアニメ塗りにブラシ塗りで加筆していく方法を、ご紹介します。
影を馴染ませていく
影の境界線がはっきりしすぎている箇所を、筆圧によって濃淡を表現できるものや濃い部分を消すことができるものぼかします。物体と影の距離でどれくらいぼかすかを決めます。
グラデーションを追加する
光源に近いところを明るくし、光源から遠いところを暗くすることで大まかに陰影を追加します。影にプラスしてグラデーションを付けることでリアリティを演出します。
反射光を追加する
ハイライトのように真っ白な色は使用せず、奥行きを持たせたい箇所に反射光を入れることでイラストに立体感や空気感を出します。
厚塗りとは
厚塗りは、油絵のように透明度の低い色を重ねていく塗り方です。
重厚感や立体感が非常に出やすい反面、アニメ塗りやブラシ塗りに比べて難易度の高い塗り方でもあります。
その重厚感を活かし、レアリティの高いカードゲームの絵柄で使用されたり、ハイエンドゲームの背景などに向いています。
厚塗りの手順
続いて、厚塗りの具体的な手順を、ご紹介します。
ベースカラーで色を重ねる
厚塗りは色を重ねることで表現するため、ベースカラーは原色ではなく、くすんだ色を選択します。まず、ベースカラーの上にレイヤーを作成し、影が落ちる部分に濃い色を載せます。この時点ではアニメ塗りのように大まかに色をつけます。
ハイライトやアクセントを付ける
光が強く当たる箇所にハイライトを置いたり、影となる部分の色数を増やします。厚塗りでは使われている色数が多いため、ベースカラーとは少し異なる色を混ぜると完成度が高くなります。
線画を目立たなくする
黒い線画が目立っているところは線画の色を変えて塗りに馴染ませたり、周りの着色をスポイトでとって線画を塗りつぶすなどして絵に一体感を持たせましょう。
色塗りに必要なもの
アクリル絵の具などのアナログ素材でもアニメ塗りはできますが、手間やクオリティーを考えるとデジタルがおすすめです。
そこで今回は必要な道具を3点、詳細までご紹介します。
①デジタルペン
デジタルペンは、手書きや筆運びをデータに取り込むことができる入力デバイスです。
アナログでは、絵のタッチに合わせてペンを変えなければなりませんでしたが、デジタルの場合ペンの設定を変えるだけで仕様を変えることができるため、ペンを1本買うだけで十分です。
自分でカスタムできるタイプのペンにしましょう。
②タブレット端末
デジタルを導入する場合、キャンバスとなるタブレット端末を導入する必要がありますが、ペンタブレットという筆圧感知できる端末にすることが必須です。一般的に10-12インチの大きさが描きやすいとされており、端末導入後は、アプリのダウンロードが必要となります。
③線画
まず線画とは、影や黒で塗りつぶされていない、線のみで描かれたイラストのことです。
色塗りは絵に色を付けるだけの作業を示すため、そのもととなる線画が必要です。
どのような職種で役立つ?
それぞれの塗り方を習得・特徴を理解しているとどのような職種で役立つか、ご紹介します!
アニメ塗り
アニメ塗りの技術は、イラストレーターや2D/3DCGデザイナーの職種で役立ちます。
アニメ塗りは、業界を問わず幅広くイラストレーターとして求められるスキルです。WEBTOONにおいてはアニメ塗りとの相性も良いため、求人も比較的多いでしょう。
また、3DCG制作において「アニメ風」の色塗りをすることを「セルルック」と呼び、アニメなどで3DCGを使う際はテイストを合わせるためにセルルックが施されます。
そのため、2Dデザイナーだけでなく、3DCGデザイナーを目指す方も、アニメ塗りの特徴を理解すると制作がしやすくなるでしょう!
ブラシ塗り
ブラシ塗りの技術は、ゲームのキャラクターデザイナーの方、Vtuberの立ち絵デザインに役立ちます。
ブラシ塗りもアニメ塗り同様、幅広く需要のあるスキルですが、特にゲームのキャラクターデザイナーやコンセプトアーティスト、Vtuberの立ち絵のデザイナーなどでマッチします。
また、アニメ塗りやブラシ塗りを使用する職種では「絵柄寄せ」の技術を求められることも多いので、光や影の入り方などの特徴も寄せられると良いでしょう。
厚塗り
厚塗りの技術は、背景デザイナーやコンセプトアーティストといった職種で役立ちます。
また、厚塗りの特徴である重厚感を活かすにはカードゲームのイラストでマッチします。
背景デザイナーの中ではハイエンド系のタイトルで厚塗りができる人の需要が比較的高いです。一方で、コンセプトアーティストの方は、タイトルの雰囲気に合わせて厚塗りが求められることがあります。
まとめ
本記事では、「アニメ塗り」「ブラシ塗り」「厚塗り」の特徴やおおまかな手順、どのような職種で役に立つかをご紹介しました。
また、塗り方を変えることによって、その作品を見た人が受け取る印象が大きく変わることがわかります。デジタル化が進んでいる現在、必要な道具を買いそろえることで、作業を格段にやりやすくすることができるため、新しいものの導入を考えてみてください。
これからイラストを始めたい方はもちろん、イラストをお仕事にしたい方や、違うジャンルに転職したい方の参考になれば幸いです。
特に転職の場合、求人の詳細に「アニメ塗りが得意な方歓迎」や「厚塗りのスキル必須」などが記載されている場合がありますので、気になる会社や求人があったらぜひチェックしてみてください!
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