
アートディレクターという役職をご存知でしょうか?
映画や広告などさまざまな業界で活躍する仕事ですが、ゲーム開発においても欠かせない存在です。
本記事では、ゲーム業界のアートディレクターとはどんな仕事なのか?なるために求められることは?など、詳しくお教えします!
ゲーム業界におけるアートディレクターとは?
アートディレクターとは一般的に、美術・芸術=「アート」を指揮=「ディレクション」する人、つまり美術・芸術表現の総合的な演出を手がける職種で、主にデザイン面でディレクションから納品までの指揮をとる、視覚表現のリーダーです。
そしてゲーム制作においては、ビジュアル面の総監督のような存在です。
キャラクターや背景を作るだけでなく、世界観や雰囲気を統一し、作品全体の方向性を決定づける重要なポジションといえます。
ゲームのアートディレクターの仕事
コンセプト決定からチーム共有へ
ゲーム業界のアートディレクターは、ゲームの企画をもとに全体のアートコンセプトを定めます。世界観をどのように表現するか、キャラクターや背景のテイストをどう揃えるかを考え、方向性を明確に示すことで、チーム全体が同じイメージを共有できるようにします。
各要素の監修とディレクション
決定したコンセプトをもとに、キャラクターデザインや背景美術、UI、エフェクトなどが統一されたクオリティになるよう監修を行います。
イラストレーターや3Dモデラーに具体的な指示を出し、仕上がりを確認しながら修正や改善を促すことで、作品全体の完成度を高めていきます。
イベント企画や施策立案
特にソーシャルゲームの分野では、アートディレクターは商材やイベントの企画にも深く関わります。
プレイヤーの満足度を高めつつ売上を意識した施策を立案し、ゲームの運営に直結する役割を担うこともアートディレクターの重要な仕事です。
スケジュール管理と調整力
さらに、プランナーやエンジニアと協力して進行管理を行い、外部制作会社への依頼や納品の調整なども担当します。
他職種との連携を円滑に進める調整力と、全体のスケジュールを見渡すマネジメント力を求められるのが特徴です。
ゲーム業界以外のアートディレクター
ゲーム業界に限定しない、一般的にいう「アートディレクター」職の業務についても簡単にご説明しておきましょう。
アートディレクターは、広告・クリエイティブ、Webデザイン、ゲーム、出版・編集、ファッション、映像など、ビジュアル表現が求められるあらゆる業界で活躍しています。
広告代理店やデザイン事務所だけでなく、企業の広告宣伝部門や自社でWebサービスを開発する企業などで、作品の見た目やコンセプトの最終的な方向性を決定する役割を担っています。
アートディレクターと類似職の相違点
アートディレクターは、関連業種の中に近い役職が多く存在します。ここでは、それぞれ役職の相違点を仕事内容に着目して、整理していきましょう。
クリエイティブディレクター
クリエイティブディレクターは、プロジェクト全体の総指揮者として企画・発案から全体管理までを担います。ビジュアルだけでなくシナリオ、サウンド、映像、広告まで全方位のクリエイティブを総括する役職です。
アートディレクターは「デザイン制作の現場監督」、クリエイティブディレクターは「プロジェクト全体の総監督」であり、役割と担当領域には明確な違いがあります。
両者は連携しやすく、場合によっては兼任することもありますが、管轄領域は異なります。
グラフィックデザイナー
グラフィックデザイナーは、アートディレクターの指揮のもと実際にデザインを行ったり、クリエイティブ制作をする実働面を担います。
アートディレクターは指揮を行い、デザイナーは実務を行う、という明確な役割の違いがありますが、企画の規模や内容、あるいは組織構成によっては、グラフィックデザイナーがディレクション業務も兼任したり、アートディレクターが一部実制作にも参加するといった場合もあります。
この点はゲーム業界でも他の業界でも変わりありません。
ゲーム業界のアートディレクターに向いている人とは?
アートディレクターには、世界観を形にする創造力とチームを動かす調整力、そしてプロジェクトを前へ進める実務的な力が求められます。
ここでは、この仕事に向いている人の特徴をいくつかの観点から紹介します。
世界観と創造力に強い関心がある人
ゲームのキャラクターや舞台設定に強い興味を持ち、独自の発想で新しいアイデアを生み出す姿勢が必要です。
自身のアイデアを絵で表現し、具体的に伝える力が求められるため、PhotoshopやIllustratorなどのツールを自在に扱えることが前提になります。
世界観を形づくることに喜びを感じられる人は、アートディレクターとしての素質を持っています。
チームやクライアントとの調整を得意とする人
制作スタッフやプランナー、プロデューサーと協力しながら進行を管理する中で、意見の違いが生じる場面も少なくありません。そのような時に、円滑に調整する力が求められます。そのためには、チーム全体にイメージを正確に伝え、共有していくためのコミュニケーション能力が欠かせません。
さらに、人と関わることに積極的で、課題解決に前向きに取り組む姿勢があると、大きな強みになります。
企画力と進行管理に強みを持つ人
新しいイベントや施策を提案し、それを形にする意欲がある人は現場で力を発揮します。
スケジュールを守りながら全体を動かし、納期を調整しながら品質を維持する管理力も大切な特性です。
新しいイベントや施策を積極的に提案し、アイデアを形にしたいという意欲がある人は、現場で大きな強みを発揮できます。
ゲーム業界でアートディレクターになるには?
一般的に、未経験からアートディレクターへの就職は難しいと言われています。
ゲームのアートディレクターの場合は、グラフィックデザイナーなど、何らかの形でゲーム開発への参加経験があり、ゲーム開発についてある程度知見がある人や、グラフィック制作全体のディレクション経験のある人がアートディレクターへとステップアップするケースが多いようです。
アートディレクターを目指したい方は、デザイナーとしての十分な経験と実績に加え、スタッフを先導するリーダーシップとコミュニケーション能力を意識して身につけておくことが、後々アドバンテージとなるでしょう。
必要な資格や学歴は?
アートディレクターになるために必要な資格が特にあるわけではありませんが、持っていることで有利に働く資格がありますので、ご紹介します。
アドビ認定プロフェッショナル
アメリカを代表するソフトウェアメーカー「アドビ」製品のバージョンごとに行われる認定試験です。
アドビのソフトウェアに関して専門的な知識、使用方法が問われる試験です。資格を取ることで、デザインや画像作成の基本的なスキルを身につけることができ、制作現場の実践的な知識を学べます。
アドビ認定プロフェッショナル:https://adobe.odyssey-com.co.jp/index.html
Photoshop®クリエイター能力認定試験
提示されたテーマ・素材から、仕様に従ってコンテンツを制作する能力を認定します。
動画編集の知識が問われるとともに、テーマに沿ったコンテンツ制作スキルについても出題があり、知識問題と実技試験が課されます。レベル別に「スタンダード」と「エキスパート」の2種類があります。
Photoshop®クリエイター能力認定試験:https://www.sikaku.gr.jp/ns/ps/
Illustrator®クリエイター能力認定試験
問題の指示に従って、1つのグラフィックコンテンツを作り上げる実践的な試験内容です。
資格取得に向けて勉強するにあたって、制限時間内にコンテンツを制作する操作スキルと、与えられた支持を正確に汲み取り、形に表す問題解決能力を習得することができます。
Illustrator®クリエイター能力認定試験:https://www.sikaku.gr.jp/ns/il/
また、アートディレクターになるために4年制大学を卒業していなければならない、ということはないようです。専門学校では、未経験でも卒業と同時に現場で即戦力になれるような実践的なカリキュラムが組まれており、アートディレクターを目指すために必要な知識を十分に得ることができます。
給料はどれくらい?
日本でのアートディレクターの平均月収によると、アートディレクターの平均月収は約42万円です。
年代別で月収を見てみると、徐々に増えていることから、経験が給与に反映されていると推測できます。求められるスキルや経験、職種の領域によっても大きな違いがあるため、アートディレクター全体の給与幅は広いです。
ディレクターとしての経験を積むことによって、収入を大幅にあげるといったケースもあるようです。
また、厚生労働省が発表した賃金構造基本統計調査によると、日本の一般労働者の平均月収は31万8300円(2025年9月1日時点)となっており、日本の平均月収よりも高いことがわかります。
参考
日本でのアートディレクターの平均月収(2025年9月1日時点)
まとめ
本記事では、ゲーム業界での話をメインにアートディレクターについてご紹介してきました。
ゲーム業界のアートディレクターは、ゲームの世界観を形にし、プレイヤーに感動や没入感を届ける中心的な存在です。アイデアをビジュアルに落とし込み、チームを導いて作品を完成させる責任の大きさは、そのままやりがいにつながります。
また、この職種はキャリアの広がりも魅力です。
アートディレクターとして経験を積むことで、ゲームディレクターやプロデューサーといった上位職種に進む道もあり、ビジュアル面だけでなく、企画や運営の領域まで関われる可能性もあります。
「自分の世界観をゲームとして届けたい」「仲間と共に大きな作品を作り上げたい」という思いを持つ人にとって、アートディレクターは挑戦しがいのある仕事です。
創造力とリーダーシップを武器に、ゲーム業界でしか味わえない成長と達成感を手にしてみてください。
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